第四話 真相
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と……、私利私欲、私怨じゃねえのか、これは」
爺さんが唸り声を上げた。俺もキルヒアイスも爺さんの思考を追って行くだけだ。確かに、爺さんの言う通りかもしれない……。
「誰があのジジイを動かした? 誰のためにあのジジイは動いた? 考えられるのは……、一人だな、あれか、あいつが動かしたのか……、なるほどな、あいつなら潰すだろう、何の遠慮も無くな」
爺さんがウンウンと頷いた。
「誰だ? 爺さん」
俺の問い掛けに爺さんは腕組みを解いて俺を見た。眼が据わっている。余程の相手だろう、俺は爺さんのこんな目は見た事が無い。
「銀河帝国皇帝フリードリヒ四世陛下だ」
「!」
あの皇帝が命令した? まさか……。
「あのクソジジイがそこまで忠誠を尽くす相手はこの帝国に陛下しかいねえだろうが。その事件の内容も陛下がクソジジイに教えたんだろうぜ、そう考えれば納得がいく」
「まさか……」
俺が呟くと爺さんが首を横に振った。
「多分、皇帝の闇の左手が動いたな」
「闇の左手? 爺さん、本当に有るのか、それ?」
名前だけは聞くが何処にも実体が無い幻の組織だ。何か事が起きると噂だけに現れる皇帝直属の秘密組織……。俺は妄想の産物じゃないかと思っていたが違うのだろうか……。
「俺も半信半疑だが有るんだろうな。ハルテンベルク伯爵は内務省の実力者だ、内務省に伯爵を調べさせる事は出来ねえだろう、調べさせればどっかで伯爵に漏れたはずだ。となれば闇の左手が動いたんじゃねえかと思う。案外、クソジジイもその一人かもしれねえな」
「グリンメルスハウゼン子爵が?」
思わず、叫んでいた。キルヒアイスも呆然としている。
「ボケ老人のフリをして犬みてえに周囲の秘密を嗅ぎ回っていたんだろうぜ、あのクソジジイを警戒する様な奴はいねえだろうからな。一体どれだけの秘密を探り出した事か……。今回も善人面してリューネブルクの女房を利用しやがった、クズが!」
「……」
爺さんが俺とキルヒアイスを見た。そしてフッと笑った。
「信じられねえか? だがな、これであの女は兄を殺した大罪人、家を潰した馬鹿女、サイオキシン麻薬の密売人を愛したクズ女と蔑まれる事になる。これが無ければハルテンベルク伯は内務尚書、場合によっちゃ国務尚書にもなれたかもしれねえんだぞ。これでもあのクソジジイが親切心からケリを付けさせたと言えるか?」
「……」
答えられなかった。
「嫌な野郎だよ、使い捨ての紙コップみてえにあの女を利用してクシャクシャにして捨てたんだ、善人面してな。反吐が出るぜ!」
爺さんが顔を歪めて吐き捨てた。俺は未だ信じられずにいる、しかし否定は出来ない。なによりケスラーが持ってきたあの文書、あれは一老人に出来る事だろうか……。
「だが分からねえ、何故潰す必要が有るんだ? ハ
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