暁 〜小説投稿サイト〜
天使に愛に
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年配の女性は
これが書かれたメモを読み 首を傾げたが


何かに気づくと
悲鳴のように息を呑み 口元を両手で押さえた



もつれる足を必死に動かして
慣れ親しんだはずの階段を 覚束ない足取りで降りていく



リビングに行くと
頭を抱えて 生気の感じられない息子の姿があった


声をかけるのを一瞬戸惑うが
震えた手で 息子の肩を遠慮がちに揺らすと
光の無い目が こちらを見た


母親は何も言わずに
先ほどの紙を 手渡す


視線が紙へと落ちると
ゆっくりと左から右へ 視線が動く


短い文だ すぐに状況を理解し
勢い良く顔を上げた



力一杯開かれた目で母親を見つめる
そこには不安と恐怖が映っていた


ソファから立ち上がると 玄関へ走る



あったはずの
弟の靴と自転車が見当たらない








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