第三話 〜アスナが勧誘されるお話 前編【暁 Ver】
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り空を飛べない陸士達を見下す傾向があった。結果として、お世辞にも仲がよいとは言えず。それをどうにかする為の交流戦ではあったが、両者の溝を埋める事は難しかった。
空に三人の空戦魔導師が浮いている。まだ生徒とはいえ交流戦に出てくるのだ。ランクもそれなりに高いはずだ。それに……空も飛べない魔導師に自分たちが負けるはずが無いとでも思っているだろう、一様に楽観的な笑みを浮かべ雑談までしている余裕ぶりであった。そこへ──── 彼らが浮いている空へ見えない階段を登って来るように一人の少女が現れた。非常に高度なパントマイムを見ているようだ。
そして少女は彼らと同じ高度まで登ると立ち止まる。見た目は彼らと同じように空に浮いている。だが、彼らは驚きを隠せないようだ。それはそうだろう。何かしらの魔法を使うわけでもなく、かと言ってスバルの『ウイングロード』のようなものでもない。本当に散歩にでも行くような足取りで、『歩きながら』登ってきたのだから。
背の中程まで伸ばされた橙色をした髪が風に揺れている。はやての目を一層引いたのは彼女のバリアジャケットだ。青を基調とした体にフィットしたインナー。恐らくこれが、バリアジャケットなのだろう。その体の上から空に浮かぶ雲のように白いプロテクターが、身体の各部を守るように展開されていて足下は白いブーツで固めていた。左腰に下げられたシースには大型のナイフが納められているようだ。そして頭部にはアイマスクのようなゴーグルをしており解析などに特化した物なのだろうと推察する。
六課メンバーのバリアジャケットは良くも悪くもデザインに凝ったものが多かった。彼女自らがデザインした『騎士甲冑』は単に彼女の趣味ではあるが、一般市民に対して不用意に威圧感を与えないという点を考えれば、六課メンバーのバリアジャケットは合格点と言えよう。
それに比べ彼女のバリアジャケットは、SFなどに出てくる『戦闘用スーツ』を彷彿とさせた。そのデザインに加え、顔の上部を覆っているゴーグルの所為で表情が窺えない為に威圧感がある。近接格闘に特化していることが容易に想像出来るほどだ。更に訓練校時代には既に高度なデバイスを所持していた事になる。はやてが彼女のデバイスとバリアジャケットの考察をしていると、戦闘開始の合図が響き渡った。
合図と同時に件の少女が弾丸のようなスピードで一番前にいた男の懐に入り、アッパー気味の右拳を腹部へ打ち込む。はやてにはいつ動き出したのかもわからかったが──── あんなものを腹部へ打ち込まれた方は堪らないだろう。口元を抑えながら、くの字に折れ曲がった男の背中側へ彼女は一瞬で回り込んだかと思うと、組んだ両手をハンマーのように容赦なく背中へ打ち下ろした。男はそのまま錐揉みしながら地上へと叩きつけられ、ぴくり
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