【冥王】と冷たきものども
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る能力である。だからこそ、彼は影を作ったのだ。
《一つ教えておこう。この化身は、影から影へと転移することが出来る》
『な・・・!?』
ジョン・プルートー・スミスのその言葉に、慌てて周囲を見るアフーム=ザー。神殺しが作った照明弾によって、ニューヨーク全体が明るく照らされている。己が作った数百の氷の槍だけではない。元々ニューヨークは大都市で、影などいくらでも出来る。
これでは、何処に転移するかなど判断のしようがないではないか!!!
『ク、ソ・・・!?』
それに気がついた時、アフーム=ザーは彼が悪手だ、と言った意味を理解した。自分で選択肢を増やし、敵に貢献してしまったようなものなのだから!
《さて、候補地は無数。選びたい放題というわけだ。・・・防ぐ事が出来るかな?》
その言葉を最後に、彼は自身の影へと沈む。
『ぐ・・・何処だ!?何処に現れる!?』
左右のビル群か?数百の槍が生む影か?それとも、アフーム=ザー自らの影か?
彼がそれら全てに意識を向けたその瞬間・・・声が、全く意図しない場所から生まれたのである!
《残念。外れのようだね》
『前、だとォ!?』
先程、彼の雷撃を防ぐ為に作成した巨大な氷の盾!これは、分厚いが故に照明弾の光を透過せず、ビルと同じように影を作っていた。今もなおアフーム=ザーの身を守っていたその鉄壁の盾。彼が無意識に絶大なる信頼を寄せていた、そこから飛び出したのだ!
《さぁ、喰らいたまえ》
《豹》が口を開き、そこから蒼白い魔弾を発射する。この魔弾は、一ヶ月に六発しか撃てない代わりに、威力、応用性について申し分ない性能を持っている。
今もなおニューヨークを明るく照らす、世界最高性能の照明弾にも出来るし、狙った敵を追尾もする。複数の魔弾を一つにまとめることで威力を相乗することも可能だ。六つの魔弾をまとめあげれば、カリフォルニアを七日間決して消えない焔で焼き尽くして荒野にする程の威力を持つという、恐ろしい性能を誇っている。
その魔弾を、彼は二つ合成して放った。
『オ、ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!?』
ドン!!!と。
先ほどの音にも負けないほどの凄まじい爆発音と衝撃が走る。十五メートルもの大きさの灰色の炎は、その中心部分全てを吹き飛ばされた。人型であれば、胴体を丸ごと吹き飛ばされたような状態だろう。
勝敗は決したのだ。
ここまでの攻防でも、先ほどから数秒しか経っていない。天空より降り注ぐ槍は未だ高い位置にあった。
《それでは、私はこれで。幕が下がれば、俳優は退場するものだ》
最早、何をする力も無いと判断し、負傷した腕と足を庇うように立ち去ろうと
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