【冥王】と冷たきものども
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い。蹲る彼の前後左右。その空間に、更に降ってくるのと同数の槍が出現したのである!
『さらばだ。』
その言葉と共に発射される氷の槍。もはや、ジョン・プルートー・スミスの敗北は決定的かと思われた・・・その時!
《それは悪手・・・と、いうものだよアフーム=ザー》
瞬間、蹲って全く動かなかった彼が動く。右手を宙に向ける。
《それに、勝利を確信したからといって、それを口に出すのもどうかと思うが?【魔界】では、それをフラグ・・・と呼ぶそうだよ?》
彼は待っていたのだ!アフーム=ザーの気が緩み、隙が生まれるこの瞬間を!
彼が行使するのは、彼がギリシア神話の月と獣の女神アルテミスから簒奪した権能、【魔弾の射手】。
彼の武装として有名な、闇エルフの鍛冶術師が作ったエオル鋼製の魔銃は、彼が他の権能を行使していない人間状態の時でも魔弾を撃てるようにしたもの。何らかの化身となっている時ならば、魔銃がなくても撃つことができる!
彼が放った蒼白い光の矢は、雷もかくやという速度で空へと突き進む。
『フ、そんな攻撃で、これを防ぎきれるとでも思っているのか!?』
馬鹿にしたように叫ぶアフーム=ザーだが、彼はそれに首を振って答える。
《まさか。そんな事のために、貴重な弾丸を使ったりはしないとも》
その言葉と同時、天高く撃ち上がった魔弾は爆発した。
ゴッ・・・!!!
ミサイルが数百発同時に爆発したかのような音・・・そして純白の光。夜空を真昼の光景に変えてしまった程の強力な照明弾の完成だ。夜の帳に包まれていたニューヨークを明るく照らすその光によって、周囲一体の氷の槍に影が生まれる。
それを見ると同時、彼は《大いなる魔術師》を解除し人間状態となり、取り寄せの魔術を使用して小さなペンライトを召喚した。
それは、細かい文様の描いてある高級品。それのスイッチを入れ放り投げると共に、彼は言霊を叫ぶ。
「冥王の名の下に命ず。夜を渡る獣の足を捧げよ。光よ、我が征路のみを照らすがいい!」
フッ・・・と、ペンライトの光が消える。
・・・否、奪い取られたのだ。
彼の第二の化身《豹》は、人工物の光を贄とする化身だ。効果範囲内にある全ての人工物の光を奪い取る。そして、その贄に量や質などは関係ない。大都市全てを停電にしても、今のようにペンライト一つの光を奪っても発動できる化身なのだ。
そして、この化身の能力は・・・ほんの数十秒で数百マイルを走破し、影から影へと転移する能力。
・・・闇をさまようもののように、闇から闇へ転移出来る訳ではなく、あくまでも影から影へと転移す
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