【冥王】と冷たきものども
[3/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
わけもなかった。
『甘く見るなよ神殺し!』
向かってくる雷撃を、避けるのではなく防ぐ事にしたアフーム=ザーは、瞬時に巨大な氷の盾を作成する。大量の呪力が篭ったその大盾は、雷撃を操作されても防げるように、余裕を持って百メートル程の高さと幅を持っていた。
空中に生み出された盾は、自らの重量に従って落下。盛大な音を響かせながら、凍りついたニューヨークの大地を大きく削る。
バチバチバチ、ガガガガガガガガガガガ!!!
雷撃を操作出来るとは言っても、速度のある攻撃を操作して動かせる範囲などたかが知れている。ジョン・プルートー・スミスの操作も虚しく、放った雷撃は盾を迂回することが出来ずに衝突した。散った雷撃によって、周囲のビル群が破壊されるも、十分な強度を持たされた大盾はビクともしない。
(これで、またもや使える手札が減ってしまったか)
完全に通用しなくなった訳ではないが、簡単にダメージを与えられる攻撃を失ってしまったのには変わりがない。
しかし、その絶対的に不利な状況下においても、彼の余裕はなくなることが無かった。彼は信じているのだ。自身の勝利を。どんな些細なことでも利用して、自身の勝利に繋げることが出来ると、信じているのだ。
『ク、ハハハ!場は整った!今度はコチラの番だ神殺し!』
いつの間にやら、周囲の寒さが限界まで達していた。これは、ニューヨークの首都一体が、アフーム=ザーの完全なる支配域になってしまったことを意味している。
《間に合わなかったか》
歯噛みするジョン・プルートー・スミス。しかし、彼には後悔する時間さえ残されてはいなかった。
《グゥ・・・!?》
突如として、彼の真下から巨大な氷の槍が出現したのである!
十五メートルもある彼の身体全体を串刺しにしても、尚お釣りが出そうな程のその巨大な槍は、一本ではなかった。最初の攻撃は、カンピオーネの超直感でギリギリ回避に成功したものの、そもそもこの《大いなる魔術師》で素早い動きなど不可能である。
ザン!ザンザンザン!!!
氷が砕ける音と共に、ニューヨークに血の雨が降る。全力でバックステップをしながら、足元から生えては発射される槍のミサイルを避けていた彼だったが、右腕、そして左足を串刺しにされてしまったのだ!
『終わりだな。私に逆らったことを後悔しながら死ぬがいい神殺し!』
膝をつく彼だったが、まだアフーム=ザーの攻撃は終了などしてはいない。地面から飛び出た菱形の槍は、凡そ百本。その一本一本の大きさは、凡そ三十メートル。恐るべき勢いで射出されたそれらは、重力に引かれて最高点から落下してくるではないか!
『ダメ押しだ。』
そして、たったこれだけで終わらせるほど敵は甘くな
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ