反董卓の章
第6話 「伊達に毎日走らせてはいないのだ!」
[6/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
兵力として警邏隊の八千に、警官隊の四千、計一万二千を残しての数。
決して少なくはない軍勢に、劉表さんは感嘆の息をこぼしました。
「まったく、たった二年でこれだけの兵力を揃えるじゃと……? どういう妖術を使ったのじゃ?」
「兵を鍛えたのは桃香――玄徳とその臣下の力です。兵を揃えたのは私の臣下の力。私はただ……それらを効率よくさせる手助けをしただけですよ」
ご主人様は、特に自慢するわけでもなく、ただ事実を述べるといった様子で話す。
でも、私に言わせれば違います。
兵を集めるための下地である、州を栄えさせるという大仕事。
それをほぼ一人で考え、漢中に移る半年以上前から入念に準備して。
それらをわかりやすく伝え、どうすれば効率よく回るか、どうすれば煩雑な仕事を簡潔に回せるのかを寝ないで書き記した。
そして州を私達に任せて一年も放浪して、じゃがいもという奇跡の食糧と、漢という国の国家予算並の資金をたった一人で持ち帰った。
私達が今、こうして精鋭を揃え、糧食を心配せずとも行動し、劉表という漢の重鎮と肩を並べる一大勢力を築き上げたのは。
まぎれもなく…………天の御遣いである、北郷盾二という傑物の手腕なんです。
「まったく……連れてきた兵力で負けるとは思っておらんかったわ。本当にお前はとんでもないの」
「ですから劉備とその臣下のおかげ……」
「それも含めて貴様の手柄じゃと言っておる。あまり謙遜し過ぎると、逆に嫌味になるわい」
そんなつもりはない――そんな様子で頬を掻く盾二様。
本当に……この方は傑物です。
「景升様の軍勢は……およそ一万五千ですか。黄巾の乱、そして白帝城の件があったのに、万単位の出兵が出来るのは流石と思います」
「まあ、錦帆賊を殲滅できたおかげで、水運による収益がかなりのものになったからのう。兵の練度はともかく、数だけは揃えられたわ」
「錦帆賊……そうでしたね。江賊がいないのは、よいことです」
?
盾二様が、少し寂しげな顔をしておられます。
今の話に、なにか関係があるのでしょうか?
「正直儂は、臣を含めてあまり戦が得意ではない。いざという時は頼るやもしれん。頼むぞ」
「…………はい。こちらも景升様のお力に縋ることになると思います。連携して参りましょう」
「うむ」
……!
さすがご主人様……じゃなかった、盾二様。
たった一言で、戦場での連携の確約を取りました。
これで諸侯は劉備軍を無碍に扱うことはできないでしょう。
なにしろ劉表様は、亡き何進大将軍の右腕と言われた方。
新興の私達とは、発言力が違うのですから。
「そこで早速なのですが……景升様にお願いがあります」
「もうか! カカカ! よかろう
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ