反董卓の章
第6話 「伊達に毎日走らせてはいないのだ!」
[5/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
新規の駐屯所用にしようと思いまして」
「……ほんと、気がつく人だよね、馬正は」
この馬正が二年ほど前まで敵だったなんて、今では全く影も見えない。
むしろ長年の知り合いのような気さえする。
武や知は、愛紗たちや朱里たちには遠く及ばないかもしれない。
だけど組織の潤滑油として、気配りができる馬正は梁州の最も重要な土台だ。
縁の下の力持ち――まさしく馬正こそが梁州にとって、そして俺にとって添え木とも言える存在なんだ。
「……ありがとうな、馬正」
「ははは。いきなりなんですか。改めて礼などおっしゃらないでください。我が主」
そう言って笑う馬正。
髭もないその顔は、この二年で少し精悍な顔つきになっている。
実は年配の女性からの受けもいいらしい。
渋い顔に堅実な仕事ということで、意外とモテている。
「連合で董仲穎殿を助けたら、みんなで宴を開くとしよう。その準備もしておいてくれ」
「はい、了解しました…………ですが、主はあまり飲まれませんように」
「わかっているよ。その時は、星に要注意な」
「は。いざとなれば警官隊で押さえ込みましょう」
「……なるほど、その手があったか」
お互い真剣な顔で話して――ぷっと吹き出した。
―― 孔明 side 新野近郊 ――
漢中を出発してから十日が過ぎました。
さすがに愛紗さんたち一騎当千の豪傑が鍛えた軍です。
本来は一日の行軍距離は、八十里(四十km)がいいところ。
ですが、私達の軍は輜重隊ですら百里(五十km)を一日で走破しています。
鈴々ちゃんの第二軍など、毎日の行軍速度が遅すぎるのでと、周辺の斥候を兼ねて訓練するぐらい。
第二軍だけなら、新野までの約八百里(四百km)を五日ぐらいで走りきるかもしれません。
「伊達に毎日走らせてはいないのだ!」
そういう鈴々ちゃんは元気一杯で、誰よりも先に走っています。
私なんかじゃとてもついていけません。
私達が新野につくと、合流予定だった劉表さんがすでに陣を張って待っていました。
私達はここで劉表さんと合流した上で、連合の集結地となった許昌へと向かうのです。
それは周囲に『南に三州同盟あり』ということを喧伝するため、私と雛里ちゃんから劉表さんへお願いしたことでした。
劉表さんはこの要請に二つ返事で了承し、ここで合流したのです。
「……まさか二万を越える数で来るとはの。しかも、予定日を数日繰り上げての到着とは……」
「天候にも恵まれましたしね。雨を見越しての日程でしたから」
劉備軍を見ながら唸る劉表さんに、ご主人様が答える。
劉備軍の出兵総数は、二万五千。
しかも、梁州に予備
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ