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不可能男との約束
肉の晩餐会
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とは言わない。実際、うちでもノリリンやアサマチといった規格外はいるのだから。
問題はその動きの質だ。
普通に見ていたら何気ない仕草なのだし、動き自体もただこの焼肉に来てさっきのハクやんに驚いたって感じなのだが……動きのキレに無駄がわざとらしく有り過ぎる。
溶け込んでいるが故に違和感。周りに合わせ過ぎているのだ。
つまり、とそこまでの思考に答え合わせするかのようにシュウやんがそちらに振り返りもせずに

「碧も来てんだろ? 似合わない変装せずに普通に来いよ」

「じゃあ、遠慮なくいくわ」

その女生徒がいきなり近くに立てかけていた長い布から薙刀を取り出してシュウやんに迫った。







碧は怒りに駆られていた。
勘違いしてもらっては困るが、別に彼に対して凄い恨みがあって虎視眈々と狙っていたとかそんな悲劇あふれる今時ストーリーとかではない。
そんなのがあったら今頃もっと酷い目に合わせている。いや、マジで。
だから、今回のは有り触れた仕返しである。
それすなわち

「襲撃の前の晩のおかずを取られた恨み……!」

だいぶ前の恨みだが忘れたりはしない。
基本、怒ったことは余り忘れないのである。怒ったことを忘れたら仕返しするのを忘れてしまうからである。
留美さんが作ってくれたそんじょそこらの料亭よりもかなり上手い唐揚げ。その一つを流れるように攫っていったのが、この我らが神の代理神である。
信仰している神に何という事をと言う感じだが、神道アバウトだから大丈夫。
元より暴風神なんだからそこら辺は許してくれるだろう。本物もこの人も。
だから、遠慮なく

「死ねーーー!!」

「少しは遠慮しろ」

瞬き一つした瞬間に目の前に一つの物体が浮かんでいた。
訂正するところがあった。
浮かんでいたのではなく、飛んできていた。お箸の一つが。

……何時の間に!?

瞬きする寸前にはこんなものはなかったから必然的に投げられたのは瞬きした瞬間になるのだが、投げた本人はこちらに振り向いてすらいない。
こちらが目蓋を閉じるタイミングなんて計れるはずがないのにどんな風に計ったのか。
しかも、躊躇いなく目に当てる軌道で投げているのが恐ろしい。

躊躇とかないの……!?

そこに怒りよりもむしろ感嘆を覚えてしまうのは私も熱田寄りの人間であるという事だろうか。ちょっと鬱になる。
だが、問題は箸である。
気付くのは直ぐだったので反応は簡単だ。
無理せずにそのまま左足を一歩進め、体を左半身に預けるように傾ける。それだけで右目を狙った箸は簡単に躱せた。
そう思った。

「あいた」

額に何か固いものが当たって一瞬視界がそれに集中する。

……箸!?

さっき避けた筈のものがと思うが、一秒
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