流星
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だったが、今度はどうなるかわからない。だが今、夜天月が答えられるはずもなく、また眠って夢の中に行くわけにもいかない。
「まっ何とかなるか……」
響は走る足を速め海岸まで一気に駆け抜けた。
海岸に立ち海を見据えると響は一呼吸で夜天月を展開する。展開したところでは違和感はない。問題はブースターが作動するかどうかだ。
「ちょっくら試してみるか」
響は軽くブースターをふかしてみるが、異音やブースターが止まることなどはない。
「とりあえずは問題ねぇか」
ブースターを止めた響は、大きく深呼吸し呼吸を整えると、小さく告げた。
「夜天月、『天翔流星』起動」
瞬間、夜天月の装甲が開く。
そして中から現れたのは淡く青みがかったエネルギーで構成されている展開装甲だ。
全ての装甲が開き終わった夜天月は、一回り大きさが増している。
「これが夜天月の展開装甲……ん?」
響は眼前のモニタで別の作業が行われていることに気がついた。すると、completeという文字が表示され、夜天月の左腕が開き始め、中から展開装甲と同じ輝きを放つ四つの爪が現れた。
同時にモニタには『断爪起動完了』の文字が表示されていた。
「断爪? 新しい武装か? まぁいい。今はいそがねぇと」
響は呟くと同時に瞬時加速を行った。
砂浜に砂煙が舞うが、そんなことは気にせず響はぐんぐんとスピードを上げていく。すでに通常状態の夜天月の限界速度はゆうに超えているが、展開装甲の影響なのか夜天月はまだ限界スピードに達していない。
……私が行くまで耐えてろよ。
心の中で福音に挑んだ友人達の顔を思い浮かべながら、響は夕闇を翔けていく。
セシリアたちは劣勢に追いやられていた。
つい先ほど一夏が復帰し一度は優勢に立ったかと思ったが甘かった。福音はそのエネルギー翼をさらに広げ、着実に六人を追い込んでいった。
「くっこの――!?」
鈴音が憎憎しげに衝撃砲を放つが、福音はまるでそれが見えているかのように的確に避けると一気に鈴音の懐に潜り込み、攻撃を浴びせる。
「きゃあああ!!」
「鈴さん!!」
鈴音は間近で食らった攻撃の影響で海面に落下していく。それを見た一夏が海面すれすれのところで何とかキャッチする。
その場にいた全員がほっと胸をなでおろすが、
「セシリア!!」
「え……?」
一夏の悲痛な叫びが聞こえたかと思うと、セシリアの後ろに白銀の機体が躍り出る。
……しまっ!?
セシリアが後ろを振り向いた時にはもう遅かった。福音はエネルギー翼から光弾を発射する態勢に入っていた。
……響さん!
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