第二話 〜始まる前のお話 後編【暁 Ver】
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んで見えるが陽の光の下ではきっと綺麗な色合いであろう髪を左右に結わえていた。左右の瞳の色が違う『オッドアイ』が印象的だ。民族衣装のような──── 恐らく王族の衣装なのであろう服を身に纏い人形のように正座をしていた。
彼女は壁から幽霊のように『抜けて』来た桐生を見ても特に驚いた様子もなく彼をじっと見つめていた。その時、遠くから響く地響きや怒号と共に部屋全体が揺れる。
どうやら『彼ら』も侵入を果たしたようだ。時間は、あまりない。桐生は彼女の事を知ったとき、紅き翼のメンバーとして助ける選択をしなかった。親元、親が誰かは知らないが──── 若しくは肉親の元へ返してもまた利用される可能性が大きい。彼女を助け出した後、『旧世界』へ渡り静かに暮らす事。それが桐生の目的だった。もっとも彼女が、それを望めばの話ではあるのだが。
桐生自身にもそれがただの『自己満足』である事は理解していた。だが今の桐生には『それをやる』という選択肢しかなかった。それほど──── 彼は疲れ果てていた。この選択が。どんな結果を齎すのか考えないまま。さてどうやって切り出そうかと考えつつ、桐生は彼女へと歩を進めると何気なく右腕を伸ばした。
「……だめ」
「え?」
桐生が、彼女の言葉を理解する前に右手首から先が蒸発するように吹き飛んだ。苦悶の表情を浮かべ、声を上げたくなるのを歯を食いしばり必死で押さえ込む。二歩、三歩と後ずさりながらも、思考は停止させない。桐生はそれが、罠なのだと理解すると、それを解除するべく行動を起こそうとしたとき──── 彼女がよたよたとこちらへ歩み寄ろうとしているのを視界の隅に捕らえた。彼女を止める為に思わず鋭い声を上げる。子供に大声を上げるのは趣味ではなかったが、今はそれどころではない。彼女はビクリと体を震わせながらも立ち止まってくれた。桐生を見つめる瞳には読み取れるほどの感情を見ることはなかったが、多少なりとも心配はしているのだろう。
「私なら大丈夫ですよ。ほら」
桐生は右手首から先が無い腕を見せる。すると──── いつの間にか集まってきた粒子が手の形をとると、ビデオの逆回しのように右手が瞬く間に再生した。子供に見せるには些かトラウマにでもなりそうな光景ではあるが、彼女は例外だったようだ。
「ね?」
彼女が驚いているのかはわからない。小さな瞳を三oほど丸くしている所を見ると驚いてはいるらしかった。そんな彼女に微笑みながら桐生が部屋を見渡していると、ちょうど部屋を半分に仕切るように妙な機械が設置されている。天井に二カ所、その下の床に同じく二カ所。なぜか、彼女とラインが繋がっている。桐生は迷い無くそれを視界に納めると目を少しだけ細める。たったそれだけで──── 破壊する。無骨な機械は雑巾を絞ったかのように、あっさ
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