第七十話 暴虎馮河の勇
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コペルニクス――――月にある中立都市の一つであり、太陽中心説を唱えたニコラウス・コペルニクスにちなんでつけられたと思われる都市だ。C.E.12年に完成し、歴史的な変換転の一つでもある前大戦の引き金となったコペルニクスの悲劇と呼ばれる爆破テロがおこった場所でもある。余談ではあるがキラやアスランが幼年学校として通っていたのもこの都市だ。
そして今現在、コペルニクスはコロニーレーザーに照準を捉えられていた。それを仕組んだのは連合のファントムペインに所属していた裏切り者のダナであり、そのことを知っているのは現在、直接対峙したネオと裏切りを持ちかけた人物であろうデュランダル議長といったごく限られた人間しかいない。しかし、コロニーレーザーの照準がコペルニクスに向いていることはその場にいた殆どの兵士に伝えられていた。
「なんとしてでも止めろ!絶対に撃たせるんじゃない!!」
ジュール隊やザフトの部隊も行動に移し出すが、時間が足りない。既にエネルギーが補充されているのがあだとなっていた。情報が伝えられた時点で砲撃まで時間的猶予は殆ど残されていないと言っても過言ではない。
イザークのグフだけでなく、多数のザクやゲルググ、艦隊がコロニーレーザーを止めるために攻撃を加えたりするものの、レクイエムの中継ステーションと違い、コロニーレーザーは分厚く堅牢であるため、並の攻撃では歯が立たない。
『各自、絶対にアレを止めさせるな!俺達の最後の意地を見せるんだ!』
コペルニクスを狙っていることなど露知らないダークダガーやスローターダガーに乗る連合のパイロットたちは必死に止めようとしているザフトの部隊に次々と特攻とすら言える攻撃を仕掛ける。数が少ないとはいえ、自らの命を懸けた者達の攻撃は重い。
確固たる目的があるからこそ崩れない。死すら厭わないという思いは物語などでは酷く軽く扱われる。命を粗末にして勝てるのかなどと。だが、実際は違う。命を糧とするゆえにその意思の激流が敵を挫くのだ。
『青き清浄なる世界の為にィィィッ――――!!』
彼らはプラントへと攻撃を仕掛けた連合の本隊が敗北したことは知らない。当然、コロニーレーザーが攻撃を成功させた所で何一つ状況が好転しないことも知らない。ただ、彼らは信じている。この戦いに勝利すれば、連合に今一度チャンスが訪れると。妄執といってもいい覚悟によって動いているのだ。
そして、いかにジュール隊が精鋭の部隊であろうともコロニーレーザーへの攻撃と突撃してくる敵への対応を同時に行えるはずもない。優先順位を考慮すれば当然コロニーレーザーの破壊が優先される。だが、敵の攻撃を無視すれば撃墜されるのは確実だ。
――――断じて行えば鬼神も之を避く――――決意を固めたファントムペインの部隊が断行するその様子は、たとえザフトのエー
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