第七十話 暴虎馮河の勇
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ヤー部分から不意を突く様に引き込まれた時点で、アウルはスラスターを使って体勢を立て直しながら勢いを殺す事しか出来ない。
「貰ったァ!」
体勢は崩れている。ビームサーベルやシールドで迎撃しようにも押し込まれるのは目に見えていた。そして振り抜かれる一閃。機体の首が斬り裂かれる。イザーク自身は胴体を斬り裂くつもりだったのだが、アウルは寸での所でシールドブースターや高い推進力を誇るスラスターによって回避したのだろう。
しかし、この攻撃によってメインカメラが機能を果たさなくなっている。アウルは着々と追い詰められていた。
◇
ジュール隊を含むコロニーレーザー周辺のザフト部隊にコロニーレーザー照射準備が整っていることを知らされる少し前、ネオはライゴウに乗り込み、一刻も早くコロニーレーザーを止めようと移動していた。ダナの怠慢か、それとも侵入口は別だったのか、幸いなことにライゴウは破壊されておらず、すぐにでも出撃が可能だ。
「自分でやったことだ。俺自身が止めなきゃならねえだろ!」
ライゴウのエンジンに火を入れ、出撃させる。手持ちの装備はビームライフルが一丁、摩耗したシールドが一つ、ビームサーベルとアーマーシュナイダーが一本ずつ。スペキュラムに取り付けていたミサイルは既に全弾撃ち尽くしているし、機関砲の残弾も零。
「だからなんだってんだ!」
コペルニクスに住んでいる人に罪があるわけではない。そして、コロニーレーザーを撃ったところでダナやデュランダルの思惑通りにしかならないのだ。ならば止める―――――誰かの為にというわけではない。自分自身の為にこれは止めなくてはならない。
「馬鹿みてえに、俺は何でここまでやってんだろうな……」
既に死んでいるアウルの母を救う為に出ていったステラを止めれなかった。デストロイに乗っていたスティングのすぐそばにいながら助けることが出来なかった。そして今も自分だけがたどり着き、生存が絶望的なこの戦場にアウルを連れてきた。後悔の連続――――どこかで歯車が狂ったのか、或いはこうなる事が必然だったのだろうか。だとしても、
「俺は不可能を可能にする男だ――――そうでなくちゃならねえ」
晒された素顔、その表情は決意を固めている。ライゴウがコロニーレーザーの一角から出撃し、破壊するための方法を模索する。
外壁からの破壊――――火力不足の現状では不可能に近い。
砲撃を指示する機器類への直接攻撃――――そのような場所は知らないし、仮に知っていたとしても破壊できない可能性が高い。
司令部の破壊――――ウイルスによって発射される事から何の意味も持たないと予測される。
そもそもライゴウ一機で出来ること自体限られているのだ。ファントムペインの部隊と通信するのはNジャマーによって不可
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