第101話
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現地の飲食店の方が・・・・・・・・・・・・・今、何と言いましたか?」
「だから、俺はそれでも構わないって言ったんだ。」
「ええええええええ!!!!!!!」
大声で叫ぶ五和。
周りの歩行者の視線を集めるが、そんな事を気にしている暇がなかった。
(どどどどど、どうしよう!?
まさかの了承してくれるなんて!!
ああ!!献立を考えないと!!)
酷く慌てた表情をしているが、どこか嬉しそうな表情にも見えた。
大通りを歩いて、麻生が宿泊する家に到着する。
五階建てのアパートのような建物だ。
薄いベージュ色に塗られた煉瓦作りで、少し古そうに見える。
中に入り階段を上がっていき、五階の部屋に到着する。
五和はおぼつかない手つきで鍵を取り出し、扉を開ける。
部屋の広さは麻生の住んでいる寮とさほど変わらないと言った感じだ。
ただ、窓から真っ青な海を一望する事ができる。
麻生は荷物を適当に床に降ろして、ベットに座り込む。
「そ、それじゃあ、朝食を作りますのでちょっと待っていてください。」
ああ、と返事をして五和は冷蔵庫の扉を開ける。
中には魚や肉など食材がたくさん詰まっていた。
だが、その中に一つだけ浮いている物があった。
それは小さな小瓶だ。
小瓶に挟まれるように手紙が入っていた。
五和はそれを取り出し、封を開け内容を見る。
それはこう書かれていた。
「五和へ。
これを読んでいるという事はひとまず、部屋に麻生を招き食事を作るという場面になっている筈よな。
そんな、奥手な五和にこの薬を置いておく。
これは天草式の用いる知識を結集させた媚薬だ。
これを食事に入れて、麻生をムラムラさせてそのまま」
最後まで読み切る前に五和はその手紙を破る。
冷蔵庫から小瓶を取り出すと、ごみ箱に急いで捨てる。
(建宮さんは一体何を考えているのですか!!!)
そう心の中で叫ぶ五和。
しかし、当の本人は此処にいない。
麻生にこの薬の事について愚痴を言えるわけもなく、もやもやしながら五和は料理を開始する。
数十分後、テーブルに料理を並べる。
献立は鶏ささみと三つ葉のサラダ、鮭の照り焼き、ほうれん草のおひたし、大根とにんじんのみそ汁、さらにはととろ汁までついている。
それらの献立を見た、麻生は少し驚きの表情を浮かべる。
「あの、どうかしましたか?」
麻生の表情を見た五和が、様子を窺うように聞いてくる。
「いや、まさかここまで手の込んだ料理が来るとは思っても見なかったから、少し驚いただけだ。」
そう言って麻生はいただきます、と合掌してまずは鮭を一口、口に運ぶ。
五和はその光景を黙って見つめる。
「うん、これは上手いな。
五和は料理が上手いんだな。」
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