二十二 道化を捨てた男
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の忍者は紙一重でかわしたようだ。
「…ッ、貴様っ!!」
上にいるとすぐさま知った音忍が跳躍する。だがそれを見越して横島は跳躍して来た音忍目掛けて霊波刀を振り落とす。
「くそっ!」
かなり焦った風情の音忍が空中で霊波刀をクナイで受け止めた。落下速度と全体重を統合した横島の力に押され、音忍は酷く苦々しげな表情をする。
だが地面に足がついたと感じた途端、彼はそのまま仰向けに倒れ、横島を巴投げした。投げ飛ばされた横島はそのまま受け身もとれず、木の幹にぶつかりそうになる。背中にくる衝撃に耐えようと身構える横島。だが幹への衝突は、突然割り込んできた破璃によって免れる。
ハヤテが助けに来てくれた時と同じく破璃が襟首を掴んで助けたのだ。咳き込みながらも礼を言う横島を慎重に地面に降ろす破璃。
ほっとする横島目掛けて、巴投げをした音忍が再び攻撃しようと印を結び掛けた。それを察した破璃が、その音忍に体当たりする。
破璃の鋭い牙に怖れをなしたか、彼はあたふたと逃げようとした。だが破璃は服を咥え、軽々と音忍一人を持ち上げるとそのまま投げ飛ばす。投げ飛ばされた音忍は、横島が激突するはずだった木の幹にぶつかり、気絶した。
地に伏す仲間七人の姿を見渡し、旗色が悪いと感じたらしい最後の音忍が跳び上がった。
それを逃がすまいと音忍の足を[栄光の手]で掴んだ横島は、そのままその音忍を地面へ引き摺り落とす。
地面に激突した音忍が痛みで顔を押さえている隙に、彼の上に馬乗りになった横島はその音忍の喉元に霊波刀の切っ先を突き付けた。
「………………」
無言で霊波刀を突き付ける横島に対し、音忍は自嘲の笑みを漏らす。
「……間抜け面と言った事は詫びよう。お前は大した男だ…―――――――――――殺せ」
生を諦めた昏く虚ろな瞳でそう告げた彼の顔を、横島は静かに見下ろした。視線をその音忍に向けながらも、注意を周囲に向ける。
そこら中で蹲っている音忍達の皆が呻き声を上げているため死者は一人もいないようだ。それを認めた横島は心底安堵した。
(誰も、死んでいないな…)
逆上しても横島は相手を気絶させるだけに止めていた。ナルトがいれば甘いと言われるだろう。それでも横島は命の大切さを知っているからこそ、たとえ敵であってもその命を取る事は良しとしなかった。
音忍の上に跨って、霊波刀の切っ先を突き付ける横島。
だが彼からは殺気など微塵も感じない。また、最初に感じた得体の知れない恐怖も今はない。
それらから自身を殺す気が無いのだと察した音忍が口を開いた。
「なんだ?殺さないのか?」
挑発するようなその物言いに横島は眉を顰める。
彼の脳内で、「忍びは殺るか殺られるかの世界に生きています
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