二十二 道化を捨てた男
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ンッと叩いた。途端地面を叩いた手から六角形の盾が現れる。だが拳ほどの大きさの盾は横島の身の安全を保障するには小さすぎた。しかしながらその小さな盾に向かって横島は声を張り上げる。
「広がれ……ッ!」
刹那、拳ほどだった盾は等身大にまで拡大した。まるで騎士を護る盾のように横島の身を隠したそれは、直撃する水の球を防ぐ。これもまた、三代目火影の記憶上にある【土遁・土流壁】といった術の障壁を参考にしたものであった。
巨大なサイキックソーサーを突き崩せず、鉄砲玉は破裂した。
「防いだだと!?」
「油断するな。一気にかかるぞ」
破裂した際にその場に飛び散る水飛沫を浴びながら、音忍の一人が更に印を結ぶ。
「【霧隠れの術】……」
うっすらとその場に濃霧が立ち込め始めた。視界が悪い中で仕留めようというのだろう。
しかしながらある意味[心眼]が開眼している横島は今や感覚が研ぎ澄まされていた。
手を前に翳し額に力を込める。すると先ほど忍者達の手裏剣と激突し地面に突き刺さったサイキックソーサーがクルクル回転し始めた。
そしてまるで意思を持ったかのように音忍達目掛けて飛んでいったのである。
「チッ!甘いわ」
けれど音忍というだけあって彼らは音に敏感であった。濃霧を切り裂くように向かってくるサイキックソーサーを尽く叩き落とす。
視界が悪い中、音忍は確実にサイキックソーサーを回避しては払いのけていた。とその時、音忍の一人目掛けてサイキックソーサーが真正面に飛んで来る。それを危うげ無く回避しにやりと笑う音忍。
しかしそんな笑みを浮かべる彼の顔に影が落ちる。はっと見上げた音忍の瞳に横島の姿が映った。
「なっ!?」
サイキックソーサーをまるでサーフィンボードのように乗りこなす横島が、右手に創った霊波刀を振るった。
斬ったり刺すのではなく、音忍の頭をただ殴りつける。思い切り殴打され地面に叩きつけられたその音忍は意識を失う。どさっと倒れた音が、他の音忍達の耳に入った。
しかしながら音は聞こえども彼らの視界は濃霧で覆い尽くされている。先手をとったつもりが逆に仇となったか、と【霧隠れの術】を発動させた仲間に対して音忍の一人は悪態を吐いた。
聴覚を鋭く研ぎ澄まし、彼はクナイに手をかける。深い霧に紛れて微かな音が聞こえたのだ。
音がするほうを窺っていた音忍は、案の定霧を切り裂くように飛んできたサイキックソーサーを敏捷な動きで避ける。だが避けたサイキックソーサーの上にはまたもや横島が立っていた。
「なに!?」
器用にも飛ぶ盾の上に足をつけていた彼はサイキックソーサーから跳び降りる刹那、霊波刀を振り落とす。それをクナイで受け止めた音忍は全体重をクナイに乗せた。
クナイと剣の押し合いは剣のほうが有利
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