二十二 道化を捨てた男
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突するごとに増えるその音は、地に伏せていたハヤテの耳にも届いた。
背中を手裏剣で串刺しにされ毒で朦朧としながらもハヤテは無理やり頭を起こす。そして翳む視界に飛び込んできた光景に動揺した。
空中で激突する手裏剣と青白い光を放つ盾。その盾がまるで分身するかのように増えていくその様に、超高等忍術である技の名がハヤテの脳裏にはたと浮かんだ。
(手裏剣影分身の術…………?)
ハヤテを守るように佇んでいる横島の背中が、誰かと重なる。
【手裏剣影分身の術】そのものを開発した三代目火影の姿が横島の背中を透かして見えた。
「三……代目…」
ぼんやりと翳んだ眼に火影の姿を見たハヤテは、思わずその背中に向かって呼び掛ける。
しかしその直後、自身の背中に突き刺さった手裏剣の痛みと身体中を駆け巡る毒により、彼の意識は遠退いていった。
カキンッ、と互いに刃音を打ち鳴らし地面に突き刺さる手裏剣とサイキックソーサー。
トトトッと地を串刺しにするそれら刃物を目の端で確認しながら横島はゆっくり後ずさった。手裏剣の多さに気圧されたかとほくそ笑む音忍は次第に一際大きい木まで彼を追い遣る。背中ごしに感じた幹の感触に横島は思わず後ろを振り返った。
その機を逃さず、間合いを詰めた一人が刀を薙ぎ払う。それを紙一重で避けたところを今度は別の音忍がクナイを放った。
サイキックソーサーでそれらを弾くともう一人が背後から首目掛けて手刀を打とうとする。それを避けるため咄嗟にしゃがんだ横島の頭部に向かって、音忍の一人が足を振り落とした。
その足を地面に転がることで回避する。そこへ続けざまにトトトッと手裏剣が横島の転がった後の地面に突き刺さった。急ぎ立ち上がろうとする横島の頭上を刀の刃がひゅんっと通り過ぎる。横薙ぎした刀は横島の髪を数本攫っていく。立ち上がっていたら首がとれていたことに背筋が凍るが、それ以上に横島の心は冷え冷えと冷めきっていた。
とにかく立ち上がろうと、横島は足下にサイキックソーサ―を出現させる。本来盾の役目をするそれを更に薄くし、サイキックソーサーの上に乗った彼は、スケートボードのように地面上を滑る。
忍者達から距離をとったところで立ち上がると、跳躍した音忍から飛ばされる上空からの手裏剣が行く手を阻んだ。突然足下に突き刺さった手裏剣に対し若干後込む横島。その隙をついて、音忍が彼の懐に入り、力を込めた膝蹴りを放つ。鳩尾を蹴られ、横島の喉がぐっと鳴る。その拍子に彼の足下のサイキックソーサーは掻き消えた。
蹴られた腹を押さえ悶える横島。その隙を狙って、もう一人の忍者が刀を振り上げた。それをなんとか[栄光の手]――霊波刀で受け止める。ギリギリと刃物同士で互いに押し合う。
刀に全体重を乗せてくる
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