二十二 道化を捨てた男
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ハヤテの身体を慎重に地面へうつ伏せに寝かせる。
破璃が背中に突き刺さっている手裏剣を口で抜いているのを眼の端で確認した横島は、こちらをにやにやと眺める音忍達へキッと鋭い視線を投げた。
「なんだぁ?」
明らかに侮っている彼らの手前、痺れる両足を叱咤して横島は立ち上がる。
もう道化など必要ない。
仮面をかなぐり捨てて、横島は沸々と湧き上がる闘志を直情の赴くままに燃やした。
嘲るようにして笑う音忍達は彼の眼を見た途端、皆その笑顔を凍らせる。ゾクリとしたモノが背筋を這い、身体が強張った。
瞳の奥に深く濃い翳りが窺い見え、同時に得体の知れない恐怖がじわりと音忍達の精神を蝕んでいく。
目前の青年はただ静かに見据えているだけだというのに、彼らは思わず後ずさった。
(な…たかが一般人に恐怖だと…っ)
横島から感じた恐怖を打ち払うように手裏剣を構える音忍達。一方の横島は、ただじっと射抜くような視線を投げ続けている。
仁王立ちのまま静かに音忍を見据える彼の瞳は、憤怒の色で染まっていた。
緊迫した空気が流れ、両者は互いに硬直した姿勢を保ち続ける。緊張感が張り詰め、まるで互いの心臓の音が聞こえるかと思うほどその場は静まり返っていた。
その膠着状態を、バサバサバサッとどこかで羽ばたいたらしい鳥の羽音が破る。
刹那、手裏剣を横島目掛けて投げつける音忍達。ハヤテと同じくハリネズミになる青年の姿を予測して彼らは口角を上げた。
(……―――ああ。煩悩じゃなくて守りたいって気持ちに反応してるのか)
逆上しながらも頭の片隅で冷静な自分が呟く。ハヤテを守りたいという気持ち、そして暗部総隊長であるナルトを馬鹿にされたという思いが、横島の怒りを掻き立てた。
守りたいという願いと相俟って湧き上がってくる霊能力を身体の奥で感じる。同時になぜか額の奥が疼いたがそれには気づかず横島は手裏剣を構えるように腕を交差した。
拳の中で霊能力が集束されていくのを感じる。交差した手のそれぞれに、創り出したサイキックソーサーが現れた。それらを、忍者を真似て思い切り投げつける。
「ハッ、たった二枚で何が出来る!?」
複数の忍びから投げられた数多の手裏剣と二枚のサイキックソーサー。サイキックソーサーを単なる盾だと思っている音忍達は横島を嘲笑する。
だが彼らは次の瞬間、信じられないとばかりに目を見張った。
空中で手裏剣のように回転していたサイキックソーサーは回転するたびにその数を増やしていく。二枚だったものが四枚、四枚だったものが八枚……。その数はあっという間に音忍達が投げた手裏剣と同数にまで増え、空中で激突する。
数多のカキンッと搗ち合う刃音がその場で鳴り響いた。互いに空で衝
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