暁 〜小説投稿サイト〜
亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第九十八話  汚染
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ほど、奴の面子を立ててやろうというわけだ。元々は面子を潰された事がトリューニヒトへの反発の一因になっている。そこを解消するか……。可能性は有るな、ならばこちらも早急に調べなければ……。一気に事態が動くかもしれない……。



帝国暦 486年 10月 10日    オーディン 新無憂宮  オットー・フォン・ブラウンシュバイク



「伯父上、何故あのような改革案など発表したのです! 改革など必要ありません!」
「……」
「伯父上!」
「……」
フレーゲルが顔を真っ赤にしている。無視される事に慣れていないせいだろう、貴族として我儘一杯に育ってしまった。本来ならこれから忍耐を、時に退く事を教えなければならないのだが……。

「伯父上! 税の徴収は我ら貴族に与えられた特権、ルドルフ大帝が下された権利なのです。それに制限を加えるなど……」
口惜しそうに顔を歪めている。その通りだ、フレーゲル。税の徴収はルドルフ大帝が下された特権だ。

だが帝国はそのルドルフ大帝の作った制度を捨てなければ生き残れぬのだ。お前は貴族の権利は知っている様だが帝国の現状は分からぬらしい。お前に世の中を見る目を与えなかったわしの所為だな。或いはお前自身がそれを持とうとしなかったのか……、哀れな奴……。

「改革を行う事は既に勅令として発表した事だ。取り消しは無い」
「伯父上!」
「取り消しは無いのだ! フレーゲル」
反駁しようとするフレーゲルの口を封じた。悔しいか、フレーゲル。怒れ、もっと怒るのだ、フレーゲル、まだまだ足りぬ。

「帝国軍はここ近年の敗戦で大きな損害を受けた。おまけに例のカストロプの一件で士気の低下が酷い、到底使い物にならん。帝国の武威は衰えたのだ。そして平民達は政府に大きな不満を持っている。軍が使い物にならん以上、国内を安定させる事も同盟に対しても攻勢に出る事も出来ん」
「ですが……」
言葉を続けようとするフレーゲルに手を振って黙らせた。

「おまけに地球教などと言う訳の分からぬ物まで飛び出してきた。現状では自由惑星同盟と協力する事で安全保障を確立し改革によって国内を安定させる。それによって帝国を再建するしかないのだ」
分かったか、そう言うようにフレーゲルを見据えた。フレーゲルが顔を悔しそうに歪めた。

「そんな必要は有りません! 我ら貴族がいます! 反乱軍と協力など、阿る事など有りません!」
「何が出来るのだ、貴族に」
嘲笑した。フレーゲルが一歩近付いた。身振り手振りで訴えてくるつもりだろう。昔から芝居がかった事が好きな奴だった。
「我らが反乱軍を打ち破ります。帝国の武威は我ら貴族が輝かせて見せましょう。さすれば改革など必要ない! 伯父上!」

「本気か? お前達がクロプシュトック侯の反乱鎮圧にどれだけ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ