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木ノ葉の里の大食い少女
第一部
第一章 純粋すぎるのもまた罪。
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誰かを傷付けることになってしまっただけで。

「……ユヅルが望んで人を傷付けたわけじゃないんだろ。なら仕方ねえよ。いや、死んだ人達やあんたのとーちゃんやヤバネちゃんとかは仕方なくないだろうけどさ」

 でも謝ったってどうにもならない。死人は戻らないのだから。

「そんなことうじうじ言ってる暇があったらもっと自信をつけろっつーのっ」
「お前の力については承知した。……だが私やマナは大丈夫だろう。私達はどちらもあまり羨ましく思われる要素を持ち合わせてはいない」
「うん、そうだな。大食いになったり女装したり大食いになったり大食いになったりお姉ちゃんにいじめられたり大食いになったり大食いになったりはちょっと嫌だよね」
「え? ……何それ無駄に大食いが多くね?」

 仕方ないと思うぞ、とはじめが溜息をつく。ぶう、とマナが頬を膨らませた。

「姉上は、妹が欲しかったんだ」

 姉の膝を枕にして、姉に纏わり付くような、可愛い妹が。
 けれど生まれてきたのは、弟だった。人形のように愛らしい顔の弟だったから、初ははじめに女物の服を着せては喜んでいた。
 けれどそれだけじゃ満足できなくなって、もっと可愛く、もっと女の子みたいに、もっと妹らしくなって貰いたかったのだろう。口調まで女のものに似せて、召使いにすら彼を姫と呼ばせた。だけどはじめは声変わりをして、低く沈んだ声で喋るようになった。以前の甲高い声とは違った声で。
 初はきっと不満に思ったことだろう。不満に思って、そしてそれを素直にぶちまける余りに、はじめを鞭打った。はじめが余りにも女のようにさめざめと泣くから、それからは彼を度々泣かせた。泣いているときの彼は、どんなときのはじめよりも女らしく見えたからだ。

「なんだそれ。なんつーの、歪んだ愛、ってやつか?」
「……否。歪んではいない。ただあまりにも純粋すぎるんだ」

 純粋すぎて逆にいびつに思える、その感情。
 初のあの灰色の目が映す光も、とても純粋だったことを思い出す。でもそれはあまりに純粋すぎて。純粋すぎて。

「それはマナ、狐者異一族も同じだ。ほら、狐者異一族は食べることに純粋だろう?」

 拾い食いに対しても無銭飲食に対しても罪の意識はない。ただ食べたかったから、食べた。それだけだ。
 人の外見も、人の性格も。全て食べ物に関連した思想で片付けてしまう。だから狐者異は純粋だ。お腹が空いたから食べる。食べたくなったから食べる。マナもそんな、人間だ。

「――そーだなあ」

 問うたことがあった――両親とは、兄弟とは、親戚とは何かと。
 羨んだことがあった――両親を、兄弟を、親戚を持つ人を。
 恨んだことがあった――何故自分はそれを持っていないのかと。
 それでも――今の自分は幸せだから。餓死して死ん
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