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木ノ葉の里の大食い少女
第一部
第一章 純粋すぎるのもまた罪。
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れは、火影になりきれなかった火影のなり損ないとしてです。一でなければそれは恥。――これが一文字家の座右の銘でございます。そうでしょう、ヒトツちゃん」
「……はい。私は一文字家の恥でございます」

 戸惑うハッカに笑顔でそんなことを言ってから、初ははじめに視線を戻した。どきっと身を竦ませてから、泣きそうに静かな声ではじめは言う。俯いてしまったままその頭が持ち上げられないようだ。
 なんて姉だろう、と思った。はじめが一文字の恥であると、彼女は直接には口にしなかったものの、っでも言外ではっきりそういった。一でなければそれは恥、すなわち、一になりきれなかったはじめは恥であると、そういったのだ。そして間接的に、はじめがそれを口にするようにも促していたのだろう。
 日向ぼっこをいていたかのような柔和な笑顔で、初は笑い、少しの間二人きりでいさせてくださいませんかと言った。一瞬こちらを振り返ったはじめの無感動な灰色の瞳が、縋るような色を映していた。

 +

 別室にて、マナとハッカは胡坐をかいていた。ユヅルは膝の上の紅丸を撫でている。

「……俺さ、始めて見た。はじめがあんなにびくびくしてるの」
「アタシも。嫌いなものは特に無いとかぬかしやがってたけど、ありゃ嘘だろ」

 二人ともはじめが心配で仕方ないのが、ハッカにも感じ取れた。
 それから約十五分後のこと、青白い顔のはじめが中に入ってきた。頬紅には涙の筋が伝い、額にはびっしりと冷や汗をかき、衣装も僅かながら乱れている。

「はじめ、てめー大丈夫かよ?」
「……大差ない」

 そう言えば手裏剣を手足に突き刺していたときも、そういいながらそれを引っこ抜いていたっけ。けれどそれを抜く彼の顔には脂汗が滲んでいたのを憶えている。嘘をつくのが下手だな、と思った。

「ヒトツの姫様。お手当てに参りました」

 茶髪の召使いが入ってきて、救急箱を開けた。はじめの顔が一層血の気を失う。「い、いやだ……」と掠れた声で呟いて、はじめは這うようにしてハッカの後ろに隠れた。
 だめですよ、はじめ様、と召使いの少年は言う。呼称がヒトツからはじめへ変わった途端、はじめはハッカのシャツを掴む手を緩めた。ほら、とハッカははじめを前に出す。見るな、とはじめは小声で懇願したけれど、マナもユヅルもハッカも紅丸も、それを聞いてはいなかった。
 その召使いがハッカの着物を脱がせ、帯を緩めた。襦袢も慣れた手つきで脱がしてしまうと、はじめの冷や汗が滲んだ背中が露出した。そこに引っかいた後やら大きな火傷の跡がいくつかあって、ひっと悲鳴をあげてユヅルがしがみついてくる。

「では、ちょっと我慢しててくださいね」
「……っ」

 茶髪のその召使いにしがみつくはじめ。その召使いは傷痕を見て顔を顰めると、消毒液に浸
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