1年目
秋
秋@〜焦がれて紅く〜
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手ではレジ袋独特のカサカサとした音が鳴り響く。一方、愛華の手には俺の荷物の2倍、いや、3倍近くあるであろう量の商品が握られていた。
「いやぁ、今日は助かったよ! 今度飯でも奢るわ!」
そう言いながら俺からティッシュを受け取ると、それを大事そうに抱きかかえた。
「大したことはしてないし、別にいいよ。それより、それだけの荷物持ってバイクなんて危なくないのか?」
平気、平気、と顔の前で手を横に振ると、ヘルメットを手に取り顔を覆った。
女の子が被るには少々、厳ついその形は、さながらレーサーのようだ。
「それじゃ、また明日スタジオでな!遅刻するなよ!」
そう言うと、バイクのエンジンを吹かし、けたたましい音と共に流星の如く走り去って行った。
ほんと、落ち着きのないやつだ…。
それでも、いつも愛華かからはどこか元気をもらっている気がする。
そんなことを考えていた時、目の前を強い風が通り抜けた。どこから来たのだろうか、その風に遊ばれひらひらと、小さな子供が手を振るかのように一枚の葉が目の前へと舞い降りた。
「もう、紅葉が舞っているのか。」
風は少し肌寒いながらも、空からの日差しは温かい。
地面から落ち葉を拾い上げ、太陽に透かしてみる。
その葉はそんな光に当てられて強く焦がされるかの如く、先ほどよりも紅く染まって見えた。
……少し遠回りして帰ってみよう。
そう思いながらその葉の柄をつかみ、くるくると回しながら帰路についた。
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