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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第八十話 フェザーン謀略戦(その2)
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ーゼンリッターは呆れた様な表情で大人しく両手を上げている。サアヤもヴィオラ大佐もだ。仕方ない、俺も驚いたような表情をした。騙されてくれるかな、少し自信が無い。レムシャイド伯は一番最後に入ってきた。よく来てくれたな、レムシャイド伯……。これで役者が揃った。
帝国軍人達を押し分けるようにしてレムシャイド伯が前に出てきた。
「ここで何をしているのですかな、自治領主閣下、ヴァレンシュタイン」
口調は穏やかだが視線は鋭い。ルビンスキーが肩を竦めた、そして俺に視線を向ける。
「ヴァレンシュタイン中将がいきなり訪ねてきたのです。どうやら私達三人で話をしたいらしい」
今度はレムシャイド伯が俺に視線を向けた。好意の一欠けらもない視線だ。居心地悪い? とんでもない、嬉しくてぞくぞくする。
「そんな必要は有りませんな。ヴァレンシュタイン、卿の負けだ。帝国に来てもらおうか」
「ここは中立国ですよ、随分と無茶な事を……」
気弱な表情を見せた。
「勘違いするな、ヴァレンシュタイン。フェザーンは帝国の自治領だ。反乱軍との交易は認めても中立など認めておらん」
レムシャイド伯は俺とルビンスキーを交互に見た。おやおや、半分以上はルビンスキーへの警告か。帝国に隠れて同盟に近づくな、独立など許さん、同盟に付く事も許さん、そんなところだな。上手くいけば功績第一、フェザーンの白狐の異名は高まるだろう、少しの間夢を見させてやるか……。
わざとらしく大きく息を吐いた。そして哀れっぽく哀願する。
「これまでか……、私だけにしてください。彼らは帰してやって欲しいのです」
「……良いだろう、卿に比べればゴミのようなものだ。取るに足りぬ」
出たよ、門閥貴族の傲岸さが。ゴミ扱いされたシェーンコップを見た。口元がひくついている。必死に笑いを堪えているのだろう。俺を見てまた片目を瞑った。駄目だ、堪えられん、笑い声が出た、哄笑と言って良い笑い声だ。
「何が可笑しい! 気が狂ったか! ヴァレンシュタイン!」
レムシャイド伯が声を荒げた。門閥貴族だな、笑う事には慣れていても笑われることには慣れていない。そう思うとさらに笑い声が上がった。気が付けば俺だけじゃないシェーンコップもリンツもブルームハルトも皆が笑っている。サアヤも太っちょヴィオラもだ。そしてルビンスキーも笑っていた。しょうもない奴らだ。
「気が狂ったんです、恐怖のあまりね。これが何だか分かりますか」
ポケットからゼッフル粒子の発生装置を取り出した。帝国軍兵士の間に動揺が走る。皆、顔を見合わせている。大体の想像はついたのだろう。
「ここにスイッチが有ります。これを押すと……」
「……」
スイッチを押した。カチッと音が部屋に響く。
「ゼッフル粒子が出るんです、銃を撃つとボン!」
「……貴様
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