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とある碧空の暴風族(ストームライダー)
ニシオリ信乃過去編
Trick-10_哀川潤。人類最強の請負人だ
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だ、ついでにハンデもやる。あたしを一歩でも動かしたらお前の勝ちにしてやる」

舐められたものだ。いや、舐められたままでいい。
そこを突くしか俺に勝機は無い。

ケースから取り出したのはモーター付ローラーブレード。
まだまだ不完全なA・T。さしずめ疑似A・Tといったところかな。
なんせ演算装置が予定の半分しか乗せられなかった。
完成したのも1週間前なんだよ!

欠点だらけのコレだが、奇策には十分に使える!

「いくぜ、赤色!」

A・Tでのダッシュ。人間の足や、ただのモーター付ローラーブレードでは
絶対に出せない早さで近づく。

それでも、哀川潤はたやすく防御するだろう。
ならばA・Tの特性を利用した3次元の動きだ。


Trick - Triangle Point Wall Ride -


プロレスの三角跳びの要領で哀川潤の頭上背後へと高速で移動する。
A・Tの勢いをそのままに蹴り降ろす。

脚力は腕力の3倍と言われている。その脚力に加えてA・Tの加速もある。
先程のスタン警棒よりは威力はあるはずだ!

それをまた、片腕を上げただけで止められた。

「ちッ!」

「それじゃ、あたしのターンだ!」

おいおい! こっちは攻撃直後で地面に足すら着いてないんだぞ!

そんな事は相手には関係ない。
正拳突き、というよりもただのパンチが俺の腹に炸裂した。

「うぐっ!!」

直撃だが、出来るだけ威力を化剄した。
父上から受け継いだ総合格闘術の中には太極拳が含まれている。
太極拳は≪のらりくらりと身をかわす≫という意味がある。
化剄、つまり攻撃の受け流しをした。

化剄したのだが、俺の中途半端な太極拳で全てを受け流すのは不可能。
一気に壁に吹き飛ばされた。

「痛ッ・・」

「ほら、早く立てよ。あたしの攻撃は終わりだ。
 次はお前の番だぞ」

数十秒前と同じく、哀川潤は俺の攻撃を待っていた。

少し体を動かして状態を確認する。骨に異常は無いが、動かす度に痛みが襲う。
全身打撲は間違いなさそうだ。

「何やってんだよ。早く次来いよ」

「・・・・」

勝手にターン制を作り、勝手にルールを守っているのはあんただろ、文句を言うな。

なんて言いたいけど言えない。こんなターン制で得するのは俺の方だ。
文句を言って相手が守らなくなったら、数少ない有利が無くなってしまう。

考えろ、考えるんだ。
正当法じゃ勝てない。通用しない。ダメージにすらならない。

ならば奇策しかない。
奇策、相手の知らない攻撃。A・T。
でもA・Tでも簡単に通用しない。普通ではないA・Tの攻撃。

道の技!

俺は両の手を大きく開いた。

「あん
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