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とある碧空の暴風族(ストームライダー)
ニシオリ信乃過去編
Trick-06_≪錬金≫と≪解析≫
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の日を迎えた。

「それでは改めて。

 ローラ様、半年間お世話になりました。本当にありがとうございました」

「ええ、お世話しました。借りは10倍返しが日本人の流儀よね? 楽しみにしてるわ」

「アークビショップ、横暴ですね」

隣にいる日本人の神裂さんが苦笑いしている。

見送りに来てもらっているのは3人。

ローラ様、セバスチャン先生、神裂さん。交流が深かった3人だ。

本当はローラ様ほどの偉い人に見送られるのは、ただの執事としておかしいが
そこはローラ様が『見送ってあげてもいいわよ』と言ったので“俺の方から”見送りをお願いしました。

「はい、ローラ様。命を救っていただいた恩返しが10倍にできるかどうか
 わかりませんが、この旅で何かを掴み、それで恩返しをさせて頂きたいと思います」

「真面目ね。冗談の受け取り方を教えるべきだったかしら」

「主の言葉には真に受け止めよ、とセバスチャン様から教わりましたから」

呆れのローラ様に、今の言葉でどこか嬉しそうなセバスチャンさん。

「西折君、君の実力なら世界中どこでも立派にやっていけるでしょう。
 私もそれだけのものを伝えたと思っている」

「はい、セバスチャン様。いえ、先生、ありがとうございます」

「ふむ」

「信乃、あなたは辛い経験をしています。

 ですがそれは時としてあなたを支える心の強さになるはずです。
 あなたの旅に幸あらん事を」

「あの神裂さん、私は自分探しの旅と少し難しい事をですけど、
 何も敵と戦いに行くわけではありませんよ。大げさです」

「っと! これは失礼しました」

「いえ、お気持ちはとてもありがたく思います。
 不肖ながら頑張ってきたいと思います」

「ええ」

「ローラ様」

最後の挨拶のために改めてローラ様に向き直る。

「まったく。執事の見送りに主を長い間引っ張り出さないでくれる?

 早く出発しなさい」

追い払うように手をヒラヒラと振る。
でも表情には鬱陶しさは感じさせない。

これ以上言葉を重ねるのも迷惑になっているなら、一言だけ言わせてもらおう。

「はい。

 ありがとうございました」

「・・・・ふん。無事に戻るのよ。命令よ」

「かしこまりました」

礼をして、俺は屋敷から歩き出した。




「本当に面白い子ね。“ニシオリ”の打算として世話したつもりなのに
 いつの間にか普通に見守るのが楽しくなっていたわ」

「打算、ですか?」

「ええ、打算よ。打算のつもりだったけど、あの子に巻き込まれて
 いつの間にか忘れていたわ。

 でも結果的に恩を売れたのだからいいのかしら」

「・・そう
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