第六十九話 止まぬ戦火の咆哮
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なんてなくなる。宇宙は広い。そして時代は流れる。明日にでもその常識は変わり、ナチュラルとコーディネーターが腕を組む日が来るかもしれない』
「奴がさしていたのはロゴス討伐の事じゃなくこっちの方のことだったのか?」
「え?奴がさしていた、ってどういうこと?」
クラウがスウェンを勧誘する際に言っていた言葉を思い出し、その言葉が指し示していた本当の理由と思われるものはこのデスティニープランの事を指していたのかと考える。その言葉にソルが何の事なのかと尋ねるが、口下手な彼は上手く説明できない。
「でも結局私達には大して関係ないんだからいつも通りの研究に専念した方が良いわね。さ、戻りましょ――――あの子をもっと成長させないといけないんだから」
セレーネがそう言って締めくくる。彼らは今日もフロンティアを目指すために働き続ける。
◇
「私じゃ……あの人の理想にはなれないのかな?」
プラントにある私室で彼女――――ミーア・キャンベルは一人物哀しんでいた。議長にとっては自分という存在は都合のいいラクス。デスティニープランという計画を聞いた時点でそれを始めて理解した。でも、それでも構わない。与えられた役割でもいい。
「結局、アスランは私の事を愛してくれるわけじゃないんだし……」
婚約者、などといってもそれは本物のラクス・クラインとの関係であり、代役に過ぎないミーアにとってはごっこ遊びの延長でしかない。だが、ミーアにとってはそれでも嬉しかったのだ。幸せだったのだ。
デスティニープランが提唱された現時点でミーア・キャンベルのラクス・クラインとしての仕事は殆ど終了していた。元々、彼女の役割は戦争でこちらの支持と士気を高めるためのプロパガンダだ。政治的な難しい話を彼女がしたところであまり意味はない。無論、賛同者が増えるといった効果は上がるだろうが、一部の彼女の正体を知っている人間などからすれば疑惑を強めるだけだと議長が判断したのだろう。
結果、彼女は表舞台に立つ機会は大幅に減った。元々デュランダル議長の支持はロゴス討伐のころから高まりを見せていたのだ。議長が欲しかったのは支持であり、それを自らが得た時点でミーアの存在価値は下がっている。
「でも、ちょっとだけなら期待しちゃってもいいのかなぁ――――」
無意識のうちに涙がこぼれる。彼女にとってラクス・クラインを演じるという事はある意味全てだったのだ。その役割を演じる必要が無いと言われてしまえば、自身の存在理由も失われたように感じてしまう。ミーア・キャンベルだった頃の自分は消え去った。だから、偽者でもラクス・クラインという立場に縋りつくのだ。
でもアスランだけは違う。アスランは始めから自分をラクスとしてではなくミーアとして
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