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蘇生してチート手に入れたのに執事になりました
若菜 麗
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とんてんかんてんとんてんかんてんとんてんかんてん
槌に、釘を打つ音、様々な音が折り合い、何かの音楽のようになっている。
麗は、自室のベットに横たわりながらその音楽を聴いていた。
宏助が明を取り戻したものの、屋敷の上層部はほぼ全壊(宏助のせいで)、更に庭や、屋敷の細部、周囲の住宅など、屋敷ほどではないが、壊れている箇所が多くある(宏助以下略)。更には、車が飛んでいた、などの情報が出回っており周囲への謝罪も行わなければならない(以下略)。
そして最後に。
今回攻めてきた奇襲犯約三十名は、全員が所持していた毒薬で、命を落とした。つまりは集団自殺だ。
更に、唯一残った証拠である楼のロボットも、粉々になり(以下同文)結局のところなんの証拠も残っていない。
まぁ、しかしその宏助が粉々にしたロボットの欠片から爆弾の一種が見つかったらしいので、御の字だろう。
そんな宏助は、今は明に罰を受けているらしい。おそらく、宏助が童貞でなければ夢のような罰なのだろうが。
現在はSP及び、神条財閥専属の大工職人達総出で屋敷の修復に当たっている。
麗は、あまり被害を受けなかった自室で療養中だ。自分でも無茶をしたとは思う。銃弾七発だそうで、あのあとの緊急手術でなんとか銃弾を取り出したものの、身体はボロボロで、最早立ち上がることもままならない。
しかし、同時に麗は、身体はボロボロでも、心は清々しい気分に包まれていた。
「私はずっと、お前に依存していたのだな・・・・。やっと気づいたよ。」
麗は、今はいない恋人に向かって優しく語りかけ、目を閉じる。
そして、若菜麗は夢を見る。

 麗が彼と知り合った頃、麗は、神条総帥が持つ十人ほどの秘書の内のひとりだった。
世界有数の大財閥、『神条財閥』の総帥の秘書、その十人の内のひとりとはつまり、トップエリートという奴らの集まりで、自分もそのひとりだった。
バカ高い給料と、膨大な事務仕事。それらを機械的にこなす日々に身を染め、麗は、神条総帥という機械を動かす歯車となっていた。
そんな歯車だった私が、彼に会ったのは、私が秘書になってから三年の月日が過ぎた頃だった。
当時、神条総帥の一人娘、神条明、といえば名は知っていたが、面識は無かった。
そんな一人娘のところに仕えるSPの一人だった彼は、神条総帥に一度、本邸に呼ばれた。
理由は、今度の、神条財閥の式典において、明が、出席するのだが、そこで、彼女の護衛部隊隊長の役目をまかす、というものだった。
当然、彼に拒否権などなく、ただ首を縦に振っていた。
彼が本邸に来たときに私たちは出合った。
出会いのきっかけなど、些細なものだ。
本邸の庭を見学していた彼と、庭を手入れしていた私。会うのは必然だった。
最初の会話はほんの世間話。
この庭は凄く立派ですね、あなたが手入れし
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