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蘇生してチート手に入れたのに執事になりました
若菜 麗
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その歯車は太刀が悪く、狂ったように回り続けた。自分の身も省みずに回り続け、ずっと歯車でいることを決めていた。
しかし、麗には普通なら持ち得ない歯車の感情が有った。
前までは幸せ、喜び、楽しみ、と呼ばれていたものだった。
しかし、今は憎しみ、悲しみ、怒りと呼ぶに相応しい。
彼は誰のせいで死んだ・・・?誰のせい?誰をかばって。勿論アイツだ。アイツしかいない。アイツがなんでのうのうと生きているんだ。
日に日にその感情は増幅していった。

 彼が死んでから二ヶ月後。
麗は神条総帥の別荘、つまるは明の屋敷にいた。
神条総帥の秘書として密会を頼んだのだ。
現在、屋敷には明しかおらず、SPは周囲の住宅に住んでいるということだった。
つまり、明と接触出来れば、一瞬でも『殺すことが出来る』。
屋敷の応接間に通される。しかし、なんと明にSPはついていなかった。明自身が下げさせたのだ。
麗は驚くと同時にこれをチャンスだと考えた。
懐には拳銃が忍ばせてある。秘書としての標準装備だ。
その拳銃の引き金を引いてしまえば、自分はもうこの世にはいられないだろう。
だが、同時にそれでいいと思っていた。自分は、所詮歯車。別に殺されようがなんの未練も無い。
そう考えていると、急にあちらから話しかけてきた。
「貴方が若菜真の恋人ですか」と。
麗は驚きで言葉も出なかった。
怒りがふつふつと湧き上がり思わず懐に手をやろうとすると。
以外にも素早いスピードで、明がその手を掴む、と同時に
「やめるんだ、麗。」
何故か彼の声が聞こえてきた。
ビクッとして辺りを見回すが、彼がいるはずもない。
何かしたな・・・と明をにらむが、明は素知らぬ顔だ。
「麗、君が明様を殺そうとして此処に来るのは既に総帥からの電話で分かっていたんだよ。」
また彼の声。明から手を離そうとするが、やはり以外にも強い力で離さない。
「麗、混乱するんじゃない。確かに僕は一度死んだ。今の僕は思念体に過ぎない。だから明様の協力を得なければ君とは話せない。」
パニック。混乱だ。自分の頭の中で何かが切れる。なんで、なんで彼の声が聞こえるの?え?
「僕はもうすぐここからいなくなるだろう。だからひとつ伝えておく。
そこで麗の許容限界がやってきた。
「なんなのよ!なんで貴方が話してんのよ!貴方のために私はコイツを・・・・。」
「殺そうとしたのかい?」
「・・・・・ッツ!」
「別に明様を殺しても、僕はなんにも浮かばれやしないんだよ。なにも変わらない。僕は自分の意思で明様を助けたんだ!」
麗は何もいえなかった。姿は見えず声だけが聞こえる彼を感じながらただただ泣くしかなかった。
「麗・・・・・・・」
「なによ!出て行って!貴方はもう死んだのよ!」
「麗・・・・愛してる。これからもずっと。
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