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蘇生してチート手に入れたのに執事になりました
無謀
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う自戒することをやめ、明を救う方法を考え始める。最早、自分を責めている場合ではない。
正直、あの住宅街に囲まれた屋敷の中の様子など、一キロも離れてしまえば、幾らこの能力でも知る術は無い。視覚では当然無理だし、聴覚でも、屋敷に至るまでに様々な音が溢れていて、屋敷だけの音を聞き取るなど不可能だ。
では、どうすれば。
分からない。移動してしまえば、宏助が屋敷に赴くよりも早く、SP達が殺されてしまう。やはりこの能力でも屋敷までの道のり1kmを、すぐには移動出来ない。そもそも、宏助が動く、ということ自体に危険性を覚える。自分の勝手な行動で、明の身に危険が及ぶ可能性がある。
発信機も破壊出来ない。八方塞だ。
宏助は再び、机に額を預ける。そして、また目から水滴。
このままでは、後半時間たらずで、自分の存在を唯一認めてくれた彼女が、いなくなってしまう。
そうやって塞ぎこんでいると、宏助は、とある気配を感じる。
「・・・?」
顔を上げると、そこには恰幅のいい、二人の男・・・・・顔が似ているから兄弟かなにかだろうか?・・・・・が立っていた。
いや、正確にはその半透明の身体を、地面から浮かしていた。
 遂に隠し通路も終盤に差し掛かっている。麗は慎重に、しかし急いで進む。
この隠し通路の終点には、あの豪邸の駐車スペースにあるマンホールにつながっている。セキュリティイシステムをハッキングした、といっていたが、そのシステムもこの隠し通路までには及ばない。更に、隠し通路の出口に当たる部分には一時的にセキュリティシステムを屋敷に身分登録している者だけを対象から除外できるシステムがある。これなら問題ない。
あとは、そこから知られずに、屋敷内に進入。手榴弾でも使って、あのSP達を取り押さえている彼らの注意と戦力を分散させる。
そこから、分散された戦力を少しずつ潰していき、最終的にSP達を取り押さえている奴らの人数を少なくし、そこを一気に叩けば、おそらく上手くいく。
危険な作戦で、SPや明が危険に晒される可能性もあるが、今の麗には、その危険性を考える慎重さや冷静さが欠如していた。
彼女の目的はただひとつ。彼らを、明を、彼女らを、助ける。
それが、彼からの言いつけだから。
麗は気づいていない。この明を捕らえるというダミーの目的に隠された、真の目的を。
麗は気づいていない。この作戦の裏側に存在する黒幕の存在に。
麗は気づいていない。その黒幕が、この隠し通路のことを知らないはずがないことを。
だから、麗は気づかない。
隠し通路のその奥のマンホールの上で、銃を持った数名の男が、待ち構えていることを。
そして、数分後に、その銃から発された何発もの弾丸が容赦なく彼女の身体を捉えることを。
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