暁 〜小説投稿サイト〜
蘇生してチート手に入れたのに執事になりました
無謀
[2/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
かった。彼女のあの優しさがなければ、自分が此処にいる理由はない。
だから宏助は考える。
俺が悪い、俺がダメだ、何故俺は俺の存在価値は彼女を護るためで、つまりそれを果たせなければ俺は。
闇が俺を攻め立てる。そのうちにファミレスについていなければいつまでも俺はそうしていた。
店内に入ると特に人が多い訳でもない。当然だ。今は平日のしかも午前中。宏助はそれでもひとりになりたくて、奥にある誰もいない席に腰を下ろす。
ご丁寧にもロボットである楼は、何も頼まないと怪しまれるだろう、と宏助達に多少の金銭を与えていた。宏助はとりあえずコーヒーを頼むものの、全く飲む気にならない。そのまま自己嫌悪に突入する。
額を机につけ、目を閉じる。自分の無力を痛感する。
俺は、人外で、だから俺を彼女らは雇ってくれて、優しくもしてくれて、やっと自分の居場所と、やるべきことができて。
なのに自分は・・・・こんなところで誰も救えずにただ座っている。
気がついた頃にはコーヒーはすっかり冷めていて、それでも飲む気にはならなかった。
ふとファミレスの時計を見る。そしてもう時間が無いことに気づく。
明に与えられたタイムリミットまで・・・あと一時間。

 麗は下水道・・・・と表向きになっている屋敷につながる隠し地下通路を歩いていた。
そんな彼女の目は虚ろで、考えていることはただひとつ・・・・。
助けなきゃ。『彼』からの言いつけを護らなきゃ。
さっきからそれだけが、麗の胸中を巡る。タブレットで、あの映像を見たとき。屋敷から出て行くときに、実際にその映像の現場を見てしまったとき。監視の奴らが自分に下手な真似をしたら彼らを殺す、といわれたとき。ファミレスまでの道すがら。ファミレスについて、店員にもらった金額を全て渡して店内にあるPCを貸してもらい、それを利用して、セキュリティシステムをハッキング、発信機の機能を改造したとき。
そのまま近くにあったマンホールから下水道に入り、そこのある分岐点で、壁の特定の場所を叩き、奥にある隠し通路を出現させたとき。
そして、今。
麗にかかれば敵に知られずにこの程度の発信機を改造することなど容易い。
その発信機を身体から離しても反応がないようにし、外して、ファミレスの机の裏に貼り付けておけば、敵方には若菜麗はファミレスでじっとしている、と思わせられる。一応、店員に気づかれぬよう、監視カメラに映った自分の姿をすべて消去した。
麗が今通っている隠し通路はいざというときに屋敷から逃げ出すときのためのもので、町中の下水道にある隠し扉につながっている。まさか屋敷に侵入するために使うとは思わなかったが。
麗にとっての疑問は、彼らが何故、いとも容易くこの神条総帥の一人娘が住むような豪邸のセキュリティをハッキングしたか、ということだ。
おそらく国の機密
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ