暁 〜小説投稿サイト〜
悪霊と付き合って3年が経ったので結婚を考えてます
1年目

夏@〜蝉の声を引き連れて〜
[3/3]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


ひっ…、と声を出してしまった。

そこには「彼女」が立っていた。柱だと思っていたものは「彼女」の足だったらしい。
慣れてきたとは言え、やはり夜中に「彼女」を見るのは心臓に悪い。

「うーん…。お寿司が私を包みこんでいく…。」

どんな夢だ、それは。
それより、寝てたのか、と驚いてしまう。
幽霊は枕元で立って寝るんだな…。
妙な雑学を得て、俺はベッドから降りて立ち上がる。

―――のどが渇いた。

彼女に驚いたからだろうか。夢のことはすっかり忘れてしまっていた。
俺は渇きを潤すため、台所へと足を向ける。

…背中には、ジンジンとした違和感を(たずさ)えて。










―――…。……、み。

「拓海!!」

その声に気づきハッと飛び起きた。外では既にミンミンと蝉が鳴いている。

「今日バイトなんでしょ?そろそろ起きなくていいの!?」

そう言われ、ハッと壁にかかった時計へと目を動かす。
やばい。遅刻ギリギリだ。

「わるい!!遅刻しそうだから飯作るのは勘弁してくれ!!」

えー!、と言う不満の声を振り払うようにジャージを脱ぎ捨て、安っぽいTシャツの袖に腕を通す。

「それじゃ、行ってきます!!」

バタバタとバイトの制服とギターケースを持つと、一目散に玄関へと向かう。


靴箱に置いた鍵を取ろうと腕を伸ばすと、いってらっしゃーい、と不服そうに言う「彼女」が視界の端に映る。
窓の外から照りこむ強い日差しと蝉の声が「彼女」を通して見えた気がした。


[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ