第二章 [ 神 鳴 ]
二十一話 漆黒混じりて…
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中をルーミアから逃げ続けるハメになった。
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「じゃぁねー!七枷様!ルーミアお姉ちゃん!」
日も暮れ始め、子供達は一人、また一人と自分の家へと帰っていく。僕達もそろそろ帰ろうか、と思った時に女の子が一人こっちに駆けて来る。
「ルーミアお姉ちゃん、えっとねこれあげる!」
女の子が渡してきたのは紅いリボン。
「わたしの宝物なの、ルーミアお姉ちゃんの目の色と一緒だから絶対に似合うよ!」
「えっと…」
ルーミアは困った顔で僕の方を見る。やれやれ。
「受け取ってあげなよ。そこで断るのはどうかと思うよ」
僕は少し意地の悪そうな顔でそう言う。こういう言い方をすればルーミアは断れないだろうし。まだ少し躊躇を見せたけどルーミアは女の子の手からリボンを受け取った。そしてそれを髪の左側に結び、
「…ありがとう、大事にするわね」
女の子の頭を撫でながらお礼をいった。満面の笑みを浮かべながら手を振り帰路についたその子を見送りながら、ルーミアは結んだリボンに手を伸ばす。
「…ふん、こんな物…」
独り言のように捻くれた言葉を吐いた。台詞とは裏腹にリボンに触れる手付きはとても優しかった。
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「ちょっと早希!私のお団子食べたでしょ!」
「楓様、この世は所詮弱肉強食!強け!?きゅ、きゅるしいですー…」
月光に照らされた縁側で、いつもの様に楓に締め上げられている早希。
「まったくあんた達は、って紫!その草餅あたしが狙ってたのに!」
「知ーらない。早い者勝ちよ」
「あんた神でしょうが。しょうがないわね、はいこれ」
そう言ってルーミアは自分が持っていた草餅を諏訪子に渡した。
「ありがとルーミア!あんたいい奴だよ」
子供の様に嬉しそうに笑って草餅を食べる諏訪子。今日は夕食を軽くして皆で月見をしていた。まぁ女子連中は月(花)より団子の様だけど。
そんな姦しい皆を横目に僕は天壌に輝く満月を眺めた。どれ程の回数眺めたかも憶えていない。月の輝きは変わっていない。
僕自身も変わっていないと思う。変わったのは僕の周りか。生きてきた時間に比べれば瞬きに等しい時しか経っていないはずなのに。
「どうしたのお父様?」
僕の膝に来た紫がそう言いながら見上げてきた。僕の周りの一番の変化はこの子だったな。紫の頭を撫でながら心によぎった疑念に蓋をする。
「何でもないよ。ただ明日の朝食をどうしようかな?って思ってね」
「あ!それなら魚がいい」
諏訪子がそう言うと、
「
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