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第六十七話 立ち塞がる者
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んな仕掛けがあるかわからない以上警戒は必要である。先ほどまで警戒をしていなかったルナがいきなり警戒しだしたのは、この異様な雰囲気を放っている空間のせいであろう。
継ぎ目どころか傷一つない壁が永遠と続く中、とうとう二枚目の扉が見えてきた。扉は先ほどと同じものでそのすぐ横にタッチパネルのようなものが備え付けられていたのでそれに触れようとした――が、唐突に第三者の声が響いた。

「あー、やっぱり抜け出してたのね」

「「っ!?」」

反射的に声のしたほうをふりむくと、そこにいたのは青みを帯びた黒髪をハーフアップに仕上げたスーツ姿の女性だった。

「あなたは・・・」

「あー、そう言えば、自己紹介してなかったわね。はじめまして、とりあえず“アクゼリュス”と名乗らせてもらおうかな。よろしくね、ルナちゃん、アスナちゃん」

アクゼリュス。その名が示す意味は“残酷”。果たしてそれが誰に対してのものなのか謀りかねるが、少なくとも今のルナとアスナにとってはまさにその名が示す通りのものだった。

「アスナ・・・行って・・・」

「で、でも、ルナ・・・っ!」

「いいから行って!私も後から追いつくから」

「・・・絶対よ?」

「うん」

そう言ってアスナはパネルを操作してドアをくぐっていく。それを背中越しに感じたルナは正面にたったままなにもしかけてこないアクゼリュスにむかって疑問をぶつけた。

「邪魔、しないんですね」

「ええ。あなたを倒してから追いかければいいんだし」

何事もないようにいうアクゼリュスにルナは戦慄するしかなかった。はっきり言って実力差がありすぎる。中学時代剣道で無敗を誇っていたルナでも軽くあしらわれるほどの実力がアクゼリュスにはある、とルナの剣士としての感が告げていた。

「・・・簡単に負けるつもりはありません」

「ふふっ。なかなか勇ましいわね。好きよ、そういう娘」

己の得物もない状態でもルナは簡単に諦めるつもりはなかった。無手の経験がないルナであるが、やらなければいけない状況で無い物ねだりをするつもりもない。だが、そんなルナの心境とは裏腹にアクゼリュスはウインドウをいじると刀を二振り実体化させて、その内の一振りをルナに投げよこした。

「・・・なん、で・・・?」

アクゼリュスの行動の心理がわからないルナは思わず聞いてしまう。それにアクゼリュスは異性であろうが同性であろうが見惚れてしまうような艶のある笑みを浮かべながら口を開いた。

「勇ましいその心に対する敬意、かな」

クスッと笑うとアクゼリュスは自分の手にしていた刀を鞘から抜く。それをみたルナも釈然としないまま刀を抜いて鞘を投げ捨てた。
正眼に構えるルナ。構えを一切行わないアクゼリュス。辺り一帯に静寂が立
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