第二話
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それは仕方のないことだ。
「よくここに来ることを許されましたね」
「反対されましたよ。ですが兄のいるここなら、と特別に許されました。私の家がサントブルクにおいて裕福だった事も理由の一つでしょうね」
そんな薄い保証でも力があるから許される。もし力がなければ逃げると懸念した権力者の誰かに潰されて終わりだ。
家族だからこそ、帰ってきてくれるという信頼に許されたつかの間の自由。
「私にも何か夢が、これ以外にも出来ることやしたい事を見つけたかった。ですがツェルニの苦境が兄に生徒会長として判断をさせ抗えない私を武芸科に送りました」
「ですから手を抜いていると」
「はい。念威操者としては七番隊の方が一番だと言われております。比べ私は並程度。ですが事実は先ほど見せたとおりです」
確かな自信を持ってフェリが言う。確かにあれだけの才能があればそうだろう。
「逆に力をいれ、実力を見せつけることでここでの地位を確立しないのですか? ある程度の自由や融通は効かせられますよ」
「自分で塞いだ逃げ道を探す、何て本末転倒ですよ。それでも一時期はそれを考えていましたが……とある身近な人を見て諦めました。自分がそうなるとは限らないのに。きっと私は臆病なのでしょうね」
バスの姿が道の先に見えた。クラリーベルは立ち上がり、腕を捕まれレイフォンもつられて立ち上がる。
「何故この話を私たちに? バラされるとは思わなかったのですか」
「同類だと思いましたので。ならクララは口外なんてしないでいてくれるでしょう」
「同じだから、バラされればこっちもバラすと。そうすれば私たちがどうするか何て知っているでしょうに。……いえ、そうなってもいいと思っている、のでしょうか。理由が出来るから」
一体何の理由なのだろうか。クラリーベルの呟きに一瞬、フェリの顔に感情が浮かんだように見えた。だがそのどちらもレイフォンにはそれが何なのかわからなかった。
「苛立ちですか。でしたらご安心を。今日以降練武館に行くことは殆どないでしょう。私達は武芸科ではなく、会うだけならあそこである必要性も薄い。武芸が絡んだ場で、どっちつかずのぬるま湯を見せることはもう無いと思いますので」
訓練をする小隊のメンバーの後ろ、何もせず座っている教養科の武芸者二人。そんな光景は恐らくもうない。
線引きは必要だ。なあなあの内に崩れていくことは避けなくてはならない。今後あの場所に行くことがあったとして、それは簡単な呼び出し等だろう。今日のような見学など恐らく二度とない。会うだけなら学生として授業を受けている校舎まで向かうだけで十分でもあるのだから。
ニーナやハーレイは別にして、今後フェリと会う時、武芸科と教養科の線引きをあやふやにした会話はしない。そうクラリーベル
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