暁 〜小説投稿サイト〜
鋼殻のレギオス IFの物語
第二話
[11/17]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
服を見てわからないのですか」
「教養科だな。コスプレだろう」

 軽い口の利き合いと様子からして青年はフェリと知り合いのようだ。
 コスプレだと言い切った青年は錬金鋼の収まったホルダーを腰の位置に付け、上着を肩にかける。
 ふと、青年のその襟元に有る物に気付きレイフォンは相手が誰なのか見当が付く。気づき、改めてレイフォンは青年を見る。ザックラバンに切られた髪に、何を考えているのか分からない瞳。武芸者らしく体は鍛えこまれている。

 呆れたようにフェリはため息を付く。これ以上の会話は無駄だと悟ったのだ。

「どうせ気絶して寝ていたのでしょう。負けるためだけにご苦労なことです」
「昔からのことだ。止めるわけにはいかんし、そう簡単にいってもツマらん」
「そうですか。負け犬ですね。私は帰りますのでこれで」
「随分なお言葉だ。ではな。あまりサボるなよ」

 横を通り抜ける際、青年はレイフォンとクラリーベルに視線を向ける。無遠慮にジロジロと眺めたかと思うと一転して楽しそうに口元を歪めレイフォンの肩を叩く。

「部屋に入った時から思ったが、良い体幹をしている。指にもタコが見えた。やっぱり俺の考えはあっているな」

 目の前に立たれて分かったが青年はレイフォンよりも少し背が高い。肩に置かれた手の圧力から鍛えられた肉体が伝わってくる。
 いつの間にか復元していた錬金鋼で殴りかかるフェリの攻撃を青年は避け距離が空く。

「一年生諸君、気が向いたらいつでも隊舎に来い」

 軽く手を挙げ去っていくその背を見てレイフォンは小さな違和感を覚える。何かしっくりこないものを覚えながらフェリに急かされて三人は部屋を出る。
 帰る傍ら先ほどの青年を思い出し、フェリとの会話からやはりそうなのかとレイフォンが思う横でクラリーベルがフェリに問いかける。

「さっきの人って十七小隊の人ですよね。殴り込み行ってたっていう」
「……違い」
「襟元のバッチに十七ってありましたよ」

 それはレイフォンも気づいたことだ。ニーナたちにもあった十七の刻印が押された小さな銀縁のバッチが確かに襟元についていた。あのバッチが小隊員であることを示している事くらいは分かる。
 否定仕掛けたところを遮られたフェリは暫く無言のままに歩き続ける。小さく舌打ちが聞こえた気がした。

「嫌いなんですか」
「……嫌いというより苦手ですね。めんどくさいです」
「傷というか、いつもあんな感じなんですか」
「ええ、まあ大体は。負けてばかりで、よく向こう……十二小隊の人たちも文句を言わないと思います」

 あの傷具合を見る限りある程度の力量差があるのだろう。負けても構わず何度も何度もよく挑むものだとレイフォンは思う。幼馴染との因縁というのはそれだけの熱を持つ理由なの
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ