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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第五八幕 「ミサイルハッピー」
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は?何言って―――」
「戦いの場で相手に質問なんて余裕じゃない?」
その瞬間、今まで一撃も攻撃を受けていなかったシャルの喉元に首の骨が砕けそうなほど巨大な青竜刀が直撃した。絶対防御発動と同時に喉を襲いくる不快感とビリビリと震えるような痛み。ややあって、シャルはその青竜刀――双天牙月が鈴から投擲されたものであることに気付いた。
簪が射線上を通ったことでミサイルに出来た切れ目、そして方向転換によるラグ。ユウの行動はシャルのパーフェクトゲームを妨害するには十分すぎるほどの隙を生み出していたのだ。
せき込みながらもシャルは恨めし気な視線で鈴を睨みつける。
「うぐっ・・・げほっ、げほっ!!う゛ぅ・・・この、くたばり損ないが・・・!!」
「窮鼠猫を噛む。うちの国の故事成語よ・・・意味は身を持って知りなさい!!」
「舐めるなぁ!!こっちは越えてきた場数が違うって事、嫌と言うほど教えてあげるよぉ!!!」
正面にシャル。そこから十数メートル先に体勢を立て直した簪。鈴に寄り添うように隣まで移動してきたユウがふん、と鼻を鳴らす。
シールドエネルギーは風花・甲龍共にイエローゾーンを通り過ぎようとしている。しかも風花はブースター類に、甲龍は脚部のバランサーに大きなダメージ。対する相手側は今までにつかったミサイル以外に目立った損傷はなし、エネルギーもいましがたシャルから少し削った程度しか目立った物は与えていない。
「ズタボロね。もう少し身なりに気を遣ったら?」
「その言葉、そっくりそのままお返しするよ。ダメージジーンズのつもりかい?」
「まさか。柄じゃないわ、そういうファッション」
絶望的とも言える状況にもかかわらず二人の目には諦めの2文字は無い。
友達のために。
友達を助けるために。
友達を諌めるために。
そしてなにより、己の誇りのために。
さて、さてさて皆様寄ってらっしゃい見てらっしゃい。これから開演しますは二人の若者が魔王に攫われた姫を救い出す、一世一代の大逆転劇で御座います。途中退席もお喋りも、今だけはご遠慮くださいませ。
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