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銀河親爺伝説
第一話 邂逅
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「何かな、リュッケルト准将」
俺が答えるとリュッケルトは微かに笑みを浮かべた。
「まあ余りカッカしない事だ」
「……」
「あの御老人に戦争は無理だ。それに誰もこの艦隊が武勲を上げる等と期待してはいない、お前さんにも分かるだろう」

その通りだ、誰も期待していない。何故俺はこんな艦隊に配属されたのか……。それにしても“お前さん”?
「リュッケルト閣下、失礼ですが“お前さん”と言うのは聊か非礼ではありませんか?」
キルヒアイスが咎めるとリュッケルトが肩を竦めた。

「卿と呼ばれたいか? しかしな、ミューゼル准将を卿なんて言う奴に限って陰では“小僧”と罵っとるよ。それでも卿と呼ばれたいかね?」
「……」
キルヒアイスが口籠った。多分、この老人の言う通りなのだろう。

「この艦隊はお荷物の集荷所さ。厄介な荷物は皆まとめて一カ所に、そういう事だな。或いはゴミは散らかすな、かな」
「……」
俺はお荷物じゃないしゴミでもない! あんなボンクラと一緒にされてたまるか! ムッとするとリュッケルトが今度は低く声を出して笑った。

「皇帝の寵姫の弟など誰も部下に欲しがらない。万一戦死でもされてみろ、後々復讐の女神の祟りが怖いだろうが」
「復讐の女神? ……馬鹿な、姉は……」
リュッケルトがまた笑った。
「お前さんがどう思うかは関係ない、伯爵夫人がどう思うかもな。大切なのは周囲はそう見てるって事だ、違うか?」
「……」
「お前さんは厄介者の荷物なんだ、それも特大級のな。少なくとも周囲はそう見てる。分かったか?」
「……」

反論出来なかった。確かに俺には誰も近づかない、話しかけもしない。俺は厄介者の荷物だと見られていたのか……。キルヒアイスに視線を向けたが目を伏せて俺を見ようとしない。キルヒアイスにも否定出来ないのだろう。
「分かったか? 分かったらそんなカッカするんじゃない、お前さんはここに来るべくして来たんだからな」

「……卿はどうなのだ? 卿も厄介者の荷物なのか?」
一矢報いたくて言ってみた。だがリュッケルトは何の反応も示さなかった。
「兵卒上がりの准将など何処に配置しようと誰も気にせんよ」
そう言うと俺達を追い越して歩き去って行った。後ろ姿が少しずつ遠ざかって行く。

「カッカしても仕方ないか……」
「ラインハルト様」
「彼の言う通りだ、なんか馬鹿らしくなってきたな」
「……」
キルヒアイスが心配そうに俺を見ている。俺らしくないんだろうか?
「まあ気楽に行くか……」
「はい……」



■  帝国暦485年 3月27日  ヴァンフリート4=2 旗艦オストファーレン  ラインハルト・フォン・ミューゼル



気に入らない! 不愉快だ! 何故俺があの男の下に付かなければならない
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