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機動6課副部隊長の憂鬱な日々
外伝
外伝1:フェイト編
第12話:そして廃工場へ
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「先ほどの狙撃痕から弾道解析をしてはどうですか?」

ルッツの回答を聞いたゲオルグは小さく首を振る。

「それは僕も考えましたけど時間がかかりすぎます。
 それに、狙撃痕の調査をするためには敵の攻撃に身をさらす必要があります。
 ちょっと危険すぎませんか?」

「確かに・・・。 ではどうしますか? 他に自分に思いつくのは
 強行突入か誰かが囮をやるかぐらいですけどね」

「ええ、僕も変わり映えしませんね。 どうしたものか・・・」

ゲオルグとルッツが顔を突き合わせて考え込み始めたところで、
ルッツの背後からフェイトがヌッと現れる。

「ゲオルグ。 時間がないんだから強行突入だよ。
 私が血路を開くからみんなはあとに続いて」
 
フェイトは小さいがはっきりとした口調でそう言うと、
工場の建物に向かって駆けだす。

(しまった・・・!)

「待って!フェイトっ!」

ゲオルグはフェイトに向かって叫ぶと、その背中を追って再び工場の敷地へと
躍り出て行った。

(くそっ・・・速いなぁ・・・。 あれっ!?)

工場の建物に向かって走るフェイトの背中を追うゲオルグの視界の端で
何かがキラッと光った。

(あれは・・・?)

全力で走りながらゲオルグは何かが光ったほうに目を凝らす。
そこは工場の2階にある窓だった。
ガラスのないその窓の奥、暗闇の中からヌッと黒く細長い棒のようなものが
姿を現す。

(銃身・・・? 狙撃手かっ!?)

その銃身がフェイトの方に向かって動く。

(マズイっ!)

「フェイトっ!」

ゲオルグはフェイトの背中に向かって叫ぶ。

(ダメだ・・・こうなったら・・・)

ゲオルグの両目に覚悟の色が浮かぶ。

「レーベン。 飛行魔法の速度をあげられる?」

《カートリッジ1発ロードで可能です》

「じゃあ頼む!」

《はい》

レーベンからの返答を聞いたその瞬間、ゲオルグは地面を強く蹴り飛ばし
宙に飛び上がる。
同時に飛行魔法が発動し、ゲオルグの身体はフェイトの背中に向かって加速する。

《マスター、このままではフェイトさんの背中に衝突します》

「それでいいんだよ」

ゲオルグはレーベンに向かって短く答える。
その視界の端にある銃身の先端にオレンジ色の光が一瞬見えた。

(くそっ! 間にあえっ!!)

ゲオルグはフェイトの背中に向かって手を伸ばす。
その指先がフェイトの肩にかかった瞬間、ゲオルグはフェイトの身体を抱き寄せる。

「えっ!?」

思わぬ出来事にフェイトが驚きの声をあげる。
と同時にバランスを崩し、ゲオルグと絡み合うように地面に向かって倒れていく。

ゲオルグは自分の
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