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機動6課副部隊長の憂鬱な日々
外伝
外伝1:フェイト編
第12話:そして廃工場へ
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が、
ルッツの厳しい表情を見てフッと我に帰る。

「・・・すいません。 少し熱くなってました」

ゲオルグが俯きがちにそう言うと、ルッツは少し表情を和らげた。

「いえ。 判っていただけてよかったです」

続いてルッツはフェイトに目を向ける。

「少しは冷静になれましたか?」

「ええ・・・」

フェイトはどこか遠くを見るような目をルッツに向ける。
フェイトの表情を見ていたゲオルグとルッツは互いの目を合わせる。

[分隊長。ハラオウン執務官は冷静になったと思いますか?]

ルッツからの念話にゲオルグは一瞬フェイトの方に目を向けてから答える。

[わかりません。 ですが表情を見ると不安を感じます]

[自分も同感です。どうしますか?艦に戻ってもらいますか?]

[いえ。それではフェイトが暴走する可能性もあります。
それよりは目の届く範囲に居てもらうほうがましです。
それにフェイトの戦力はこの作戦を立案したときから計算内ですからね。
フェイトを欠いては作戦の成功率が著しく下がります。
当面は、僕と曹長で注意深く様子を見守ることにしましょう]

[大丈夫でしょうか?]

[フェイトを信じましょう]

ゲオルグの言葉にルッツは小さく嘆息する。

[了解です]

ルッツはゲオルグの目を見て小さく頷くと、フェイトの後に戻った。
ゲオルグは通信ウィンドウを開いてヒルベルトとの間で通信を繋ごうとする。
ややあって、ウィンドウの中にヒルベルトの顔が現れた。

『どうした?』

ウィンドウの中のヒルベルトは余裕のない表情でその目を左右に揺らす。

「狙撃手への攻撃はどんな感じかなと思いまして。
 ヒルベルトさんの様子を見るに忙しいみたいですね」

『まあな。 いろいろ試してみちゃいるが、今のところ芳しくはないな』

ヒルベルトには珍しくやや早口で話す。

「そうですか・・・」

ゲオルグは呟くようにそう言うと腕組みをして考え始める。
その間にヒルベルトはA分隊の部下たちに二言三言指示を出す。

「何が問題ですか?」

ゲオルグが問うと、ヒルベルトは一瞬その目線を宙にさまよわせる。

『さっきの狙撃の時の映像を見てはいるんだが、狙撃手の居る場所が判らん』

「なるほど。こちらでも少し考えてみますね」

ヒルベルトに向かってそう言うと、ゲオルグは後ろを振り返る。

「ルッツ曹長。 ヒルベルトさんによるとA分隊でも狙撃手の位置が
 把握できていないようです。 何かアイデアはありませんか?」

「そうですね・・・」

ゲオルグの問いに対してルッツは目を閉じて口の中で何かを呟き始める。
10秒ほどの間を置いてルッツは顔をあげた。

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