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機動6課副部隊長の憂鬱な日々
外伝
外伝1:フェイト編
第12話:そして廃工場へ
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でに返事をくれるって言ってたのに・・・まったく!)

ここには居ないクロノに向かって、心の中で思い切り悪態をつく。
とはいえ、そのような状況でもクロノとの約束を果たそうとするあたりは、
バカ正直というか律義な性格のゲオルグ少年ではある。

もっとも、クロノとの約束だからというよりは、友達の様子が心配だから
という感情が強く働いての結果ではあろうが。

とまれ、ゲオルグとしてはフェイトの様子がどうしても気になり、
ちらちらと何度もフェイトの横顔に目を向ける。
こうなんども見ていれば1度くらいは目が合いそうなものだが、
ゲオルグとフェイトの視線が交錯することはない。
フェイトがじっと床を見つめているからである。
その様子こそがゲオルグをさらに不安にさせ、そのため息を深くさせる。

(作戦が始まる前に一度くらいフェイトと話しておきたいな・・・)

ゲオルグが立ちあがりフェイトに声をかけようとした時、
ミュンツァーからの通信画面がゲオルグの前に現れた。
ミュンツァーの顔を見た瞬間、ゲオルグの表情が一瞬曇る。

『作戦開始時刻だ。 準備はいいな、シュミット』

「・・・はい」

ゲオルグの返事が遅れたことにミュンツァーは渋い顔をする。

『何かあったか?』

「いえ。 予定通り作戦行動を開始します」

今度は即座に返事を返し、画面の中ミュンツァーは満足げに頷く。

『偵察は十分に行っているが、想定外の敵戦力が出現することもある。
 慎重にかかれよ』
 
「はい、判っています。 それでは」

通信画面が閉じ、ゲオルグは立ち上がってフェイトの肩に手を置く。

「行くよ、フェイト」

ゲオルグの声にフェイトはゆっくりと立ち上がり、黙ったまま小さく頷いた。

(やっぱり、いつもと違うな・・・。注意してないと・・・)

ゲオルグは鋭い目でフェイトをちらりと見やってから、
彼の側に集まっているB分隊の面々の顔をじっと眺めた。
分隊員たちもゲオルグの方をじっと見ている。

「皆さん、作戦は事前に説明した通りです。
 エメロードは工場の3階にある一室に居ることが確認されています。
 彼以外で工場内にいることが確認されているのは10名程度。
 ですが、監視カメラの死角に伏兵がいる恐れもあります。
 十分に注意してかかりましょう。 いいですね?」

ゲオルグが短く告げると、分隊員たちは声を揃えてそれに応える。
真剣な顔でゲオルグは頷くと、待機していたスポーツ施設の出口に向かって
くるりと向きを変える。

「では、行きますよ!」

ゲオルグはそう宣言し、廃工場に向かうべくその足を踏み出した。





同刻、クラナガンの地上本部。
その高層階にある一室
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