暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
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んてさすがだよ。あと数時間はこのままだと思ってたんだけど」
「………ならばレンとキリトのアカウントが消されるのでは?」
「かもね。だけど、アナウンスも流さずに強制介入するってことは、あっちもこの事は隠したいんじゃないかな」
レンの言う事は一理ある。
通常、これほどの被害をこの短時間で対応するなど異常な事態だ。普通はいったんサーバーを停止させ、原因追及を行うことが先決だ。事態に対する本格的な対応は二の次と言ってもいい。
「前代未聞の事態に焦っている?………いえ、違いますか。何かを隠したがっている、とか?」
「さぁてねぇ〜。ユイちゃんが言ってたことも気になるし……」
「あの、アスナと同座標上にある謎のコードIDの事ですか?」
「うん」
紅衣のケットシーは、こくりと頷く。
次いで、脱力したように頭を地面に乗せた。
「でも、まぁそれと向き合うのは僕じゃない。勝者が得る特権だよ」
「レンは負けてなどいません。体調が万全なら、最初の一手で勝っていました」
「負けたさ」
「負けてません」
「………………………」
「負けてません」
正座をしたまま、頑固に言うカグラに、思わずレンは黙り込んだ。
こちらを真っ直ぐ見る視線に、思わず目線をずらす。
見ていられなかったから。
そんな、真っ直ぐに信頼を寄せられている目線を。
「………そんな目を向けないでよ。僕は弱い。たった一人の女の子すら、守れないんだから」
そして、救えもしないんだから。
「レンは強いです。力を持っていたのに、それを傷つける事にしか向けられなかった私なんかとは、比べ物にならないほどに」
「………………………」
今は遥か昔に思える、あの城での出来事。
あの城の主であり神でもあった男が、カグラの元の《持ち主》であった。神、カーディナルは己の地位を根底から揺るがし、かつ万物の法則を知りたいという己の知識欲を満たしてくれる《ブレインバースト・システム》の発動キーであるマイを《使う》ために様々な者の所へ送り込んだ。
しかし、システムを使った人間はことごとく脳を、脳細胞を死滅させて死んでいった。
暴走した彼らを止めるために送り込まれたのは、カグラだった。
腰に吊り下げられた大太刀《
冬桜
(
とうおう
)
》の放つ、妖気とも取れる圧力は何も気のせいではない。実際、それほどの数を彼女は屠ってきたのだ。
否定する精神を抑えながら。
拒否する心で叫びながら。
人を、殺した。
「昔の話だよ。それに、《人の心を持った人形》になるって決めたんでしょ?《人》にはなれなくても、操られる《人形》じゃなくて、糸の切れた自由な《人形》に……」
「…………はい」
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