第四十三話 少年期【26】
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俺ことアルヴィン・テスタロッサは、結構単純な性格だと思う。
おいしいものや好きなものがあったら喜ぶし、笑みが浮かんでしまう。逆に嫌なことや苦手なことがあったらがっかりするし、落ち込んでしまう。さすがに空気を読んで、露骨な態度は取らないように気を付けてはいるけど、それでも結構はっきりと表に出してしまうのである。
ちょっと機嫌が悪くても、好きなことがあるとコロッと機嫌が良くなることなんて何回もあった。特に好きなことや面白そうなことは、とことんのめり込んでしまう。でも逆に嫌なことがあるとずっと落ち込みっぱなしの時もあった。めんどくさい性格であると同時に、自分でもわかりやすい性格だと思っている。
「故に、俺の眼前におわせられるコタツ様とみかん様のコンビの前に、俺のテンションが上がってしまうのは致し方ないことなんだ」
「致し方ないじゃないよ。さっきからアルヴィン、みかん食べ過ぎだから」
少年Bがミカンを食べるのが遅いだけだろ、と言い訳しておく。みかんの食べ過ぎで怒られてしまったようだ。だけど文句を言われようと、俺を惑わすみかん様が悪い。食欲を旺盛にするコタツ様の包容力が悪いんだ。
「アレックスが持ってきたみかんなのに…」
「いいよ、ティオ。お母さんが昨日特売だからっていっぱい買ってきてくれたおみやげだし」
「まぁ、確かにこのコタツとみかんの組み合わせはわかる気がする」
順にティオール、アレックス、ランディと会話が続く。なんだかんだ言ってこいつらもみかんを食う手が止まっていないので、この至福の時間がわからないわけではないのだろう。やっぱりコタツにみかんは定番である。それは異世界でも通じるらしい。
そんなこんなでもう1個むきむき。
「…………」
「…………」
「いや、何か会話しようよ。友人5人揃って無言でみかんをむき合うとかなんか怖いんだけど」
「リトスが無心に食いまくるのは予想が付いていたけど、俺はアルヴィンが無言なのが怖い」
「アルヴィンってしゃべらなくても大丈夫なんだ。……明日ぷにゅが降る?」
「おい、なんで俺が静かにしているだけでここまで言われ……、あっ、少年E! それ俺のみかんッ!」
「……油断大敵」
「リトスって食い意地に関してはハッスルするよね」
男5人集まるとやっぱり騒がしかった。
「というかみかん食ってて思ったけど、食い方がみんな違うんだな」
「えっ、……本当だ。俺は薄皮が好きじゃないから取っちゃうけど」
「食べ方は人それぞれだけどさ。少年A、それめんどくさくね」
俺はまたみかんを一房ちぎっては口に放り込んでいく。うん、おいしい。現在冬真っ只中のこの季節。子どもは風の子と言えど、寒いものは寒い。地球でもそうだったが、1月を過ぎると急激
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