第四十三話 少年期【26】
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移って重量制限とかあるんだろうか。昔ながらなコタツと布団なので、合わさると大人でも持ち運ぶのが難しい重量だ。今まで人を1、2人ぐらいなら普通に運べたが、今更な疑問を俺は持った。
……できるんだろうか。俺は自分の持つ能力について考える。そうだ、自分の能力を深く知ることは大切なことだ。今度色々実験する必要があるだろう。できることが増えていくのは、嬉しいものだしな。
早速実験をやってみよう、と俺は意気込みをつける。狙いはもちろん台所へ!
そして俺は転移を発動したのだった。―――コタツごと。
「よっしゃ成功した! ……あっ、やっべ、コンセントが抜けちまった!?」
『それ以前の問題だろうがッ!?』
みかん取って戻ってきた俺に、全員からみかんの汁を発射されたのだった。
******
「あいつら5人が揃っているとなると、すごいアホなことをしていそうだが」
「否定できないわね…」
エイカの言葉に、ありありと想像できてしまったクイントは乾いた笑みを浮かべてしまった。まぁ、なんだかんだで仲がいいというか、喧嘩が長続きするようなことがないので心配はしていないが。むしろ周りが迷惑を受けていないかが心配になる。
「喧嘩といえば、アリシアはアルヴィンと喧嘩とかするの? あんまりアルヴィンが怒るところを見たことないけど」
「むしろ、アルって怒るの?」
このメンバーの中で、妹がいるメリニスはそんなことを思う。年が少し離れているので、さすがに姉として妹と衝突をしないように立ち回っている。だけど、同じ年の双子の兄妹ならどうなのだろう。クイントとしては、純粋な疑問だった。
「布団の取り合いはしたことあるよ?」
「あぁ、うん。仲いいわよね、あなたたち」
それ喧嘩ちがう、とか頭に思い浮かべながらもメガーヌは無難に笑っておく。正直この兄妹が大声で怒鳴り合ったり、手を出したりする光景が思い浮かばない。完全な平和地帯だ。たぶんこの兄妹がいるかぎり、このぐだぐだした空気は続くのだろう、とある意味心理をついていた。
アルヴィンは怒るよりも、むしろ怒られている姿が印象に残っている。それだけマイペースすぎるせいもあるが、そのせいで彼に関わったほとんどの者が、その空気に慣れてきてしまうのだ。つまり多少の奇行では動じなくなる。果たしてそれがいいことなのか、悪いことなのか。
「まぁアルって楽しいことが好きだから、それでいいんじゃない? エイカの誕生日パーティーだって一番張り切っていたし」
「お、お前な…」
ここでその話を出すのか、とエイカは胡乱気にクイントを見る。2ヶ月ほど前に行われた誕生日&クリスマスパーティー。こんな時は必ず有言実行な店主とアルヴィンの手によって、騒がしくなっ
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