第四十三話 少年期【26】
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とメガーヌとメリニスにとって、コタツは知識でしか知らなかった。
「コタツは私好きだなー。お兄ちゃんとエーちゃんと一緒に入ったことあるけど、あったかかったよね」
「あれはちきゅうやを知ってよかったと思えた物だな」
「そこまでの代物なの…?」
2人の話に、メガーヌは恐る恐る聞いてみる。それに2人は素直にうなずく。そこまでくれば、当然3人も興味が出てくる。だが、アリシアは「だけど」とコタツ初心者のために一つ付け加えをした。
「コタツを使う上で、注意しないといけないことがあるの」
「……のぼせちゃうとか?」
「いや、下手したら戦争が起きる」
「コタツでッ!?」
天国と地獄を味わえる。それが我らがコタツ様であった。
******
「……みかんが無くなった」
「……ついにか」
グダグダしゃべりながらみかんを食い続けた結果、当然の帰結を俺たちは迎えた。
「えっと、確か台所の方に俺が持ってきたみかんがまだ残っていたはずだけど…」
「ありがとう少年A。わざわざ持ってきてくれるんだね」
「決定事項!?」
コタツから出たくないんだよ。たぶん誰もが同じことを心の中で思っている。
「……アルヴィンが行けよ。転移使ったらすぐだろ」
「少年Cの方が台所に近いだろうが」
バチバチと俺とランディとの間に火花が散る。アレックスは、俺はみかんを持ってきたから、と宣言。ティオールは、僕はもうお腹いっぱいだから、と戦線離脱。リトスは……みかんがなくなった悲しみからコタツに突っ伏していた。
リトスをつつくがへんじがない。ただのしかばねのようだ。
「……なんか大人げなくなってきたから、俺が行くよ」
「あぁ…、うん、ありがとう」
少年Eの悲しみ様になんか居た堪れなくなった俺は、自らみかんを取ってくることを伝える。少年Cも申し訳なさそうにしていた。
さて、みかんがほしいのは変わらないが、コタツから出たくない気持ちも変わらない。みかんが俺たちの方に来てくれたらいいのに、なんてしょうもないことを考える。実際にみかんが動き出したら即行で逃げだすだろうが。
「みかんを転移できたらな…」
離れた場所にあるものを転移させる。俺は自分自身か俺が触れているもの以外を転移させることはできない。故に離れた位置にあるものにはどうすることもできないのだ。魔法を使ってもいいんだが、みかんを取るために使うのは、果たして魔導師としていいのだろうか。
どうでもいいことを考えていたが、そろそろ行かないとまずいな。どうせみかんを動かすことも、ましてやコタツごと動くわけにもいかないんだし、……ん?
俺はふと気づいたことに、そっとコタツ布団を手で触ってみる。そういえば、俺の転
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