第四十三話 少年期【26】
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意した後、そのままアリシアと少し話をしていた。その後、挨拶をして、姿を消してしまった。おそらく出かけたのだろう。なんとなく普通の会話がほしかったため、エイカは気になったことを口に出してみた。
「うーん、お出かけしたのは知っているけど、お母さんとコーラルとリニスがどこに行ったのかはわからないかな」
「わからない? あと、あのデバイスも一緒なのか」
「うん。時々お母さんとコーラルとリニスでお出かけする時があるんだよね。お兄ちゃんも知らないって言っていたし」
「ふーん」
アリシアは不思議そうに自分の母親のことを考える。3人で行った後、プレシアは買い物袋を持って、帰って来るのでただ買い物にいっているだけかもしれない。でも、それなら子どもたちに頼んでもいいはずだ。デバイスと猫をわざわざ連れて行く必要はない。
隠し事でもあるのだろうか。もし何か悩みがあるのなら少しでも力になりたいと思うが、どうもそういう様子ではなかった。むしろどこか楽しげな雰囲気があった気がする。そのためアリシアは、プレシアに聞くことを戸惑っていた。
「アリシアのお母様、どうかしたの?」
「うーん、ううん。たぶん大丈夫だよ」
メリニスの心配そうな声に、アリシアは静かに頭を振った。気になりはしたが、きっといつか教えてくれるだろう、とアリシアは気持ちを整理する。彼女は昔から勘がよかった。兄のことも、母親の仕事のこともわからないなりに、なんとなく悟っていた。
故に、いつの間にかその悟ってしまった気持ちを表に出さない術を身に付けてしまっていた。母に心労をかけさせたくない。兄に心配をかけさせたくない。2人がアリシアに教えないのは、何か訳があるんだ、仕方がないんだと考えるようになった。それが幼かったアリシアが覚えた処世術だった。
そんなアリシアの様子を訝しげにエイカは見つめる。笑顔で話し始めたアリシアを見た後、少し不機嫌そうにしながら小さく鼻を鳴らした。
「……そういえば、向こうも男連中で集まっているらしいな」
「え、えぇ。そういえば、ランディがそんなことを言っていたわね」
エイカの話の切り返しに驚きながらも、クイントは一つうなずいてみせる。こちらは家のリビングでクッションに座りながら、暖房器具でぬくぬくしている。おそらく向こうでは、こたつの中にでも丸まっているのだろう、とエイカは予想した。
「コタツかぁ。確かちきゅうやに置いてある日本って国の暖房器具よね」
「あぁ。そういえばお前らって入ったことなかったっけ」
ちきゅうや関連で色々覚えてきたメリニスは、コタツの知識を話す。しかし、さすがに人様の家のコタツに遠慮なく入るのは気が引ける。店主なら笑って許可を出すだろうが、さすがに申し訳がない。そんな気持ちもあってか、クイント
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