第四十三話 少年期【26】
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エイカ。しかし呼んだ瞬間、花が綻ぶように笑顔を向けられたので気恥ずかしげに顔を背ける。彼女は大人しい見た目と性格だが、自分が絶対譲れないところは譲らない。1年間なんだかんだで過ごしてきてわかった彼女の性格だ。
「そうそう。特に私なんて新参者だからね。みんなフレンドリーだけど、幼馴染集団に入っていくのって結構勇気がいるのよ。こういうおしゃべりができる機会は嬉しいわ」
「お前、気づいたら普通に入り込んでいたと思うが」
「あら、私もメリニスみたいに名前を呼んでくれないの? 誰を呼んでいるのかわからなくなっちゃうでしょ?」
おかしそうに口元に笑みを浮かべる紫色の少女。その言葉にエイカはむっと眉を寄せた。
「ふん、お前なんて紫で十分だ」
「あらら、残念」
ちっとも残念そうな感じに見えないメガーヌに、エイカは不機嫌そうにジュースを無言で飲んでいく。メガーヌは人にイタズラしたり、いじるのが好きな少女だ。特に反応が面白いエイカやティオール、アレックスあたりは、彼女にとって楽しみの1つであった。
ただ同じ性質のアルヴィンとその方面でタッグを組むことはほとんどない。別に同族嫌悪とかそんなものではなく、アルヴィン相手だといつの間にかペースを持って行かれてしまうのだ。しかも変な方向に。気づくと自分も巻き込まれている。
テスタロッサ兄妹は、何をやらかすかわからない。どこか着眼点がズレている所為か、予想もしていないところから球を飛ばしてくるのだ。
そんなことをなんとなく考えていたメガーヌと、黙々とジュースを飲むエイカに向けて、先ほどから2人の話を聞いていたアリシアが、笑顔で一言告げた。
「今のエーちゃんの名前の付け方、お兄ちゃんとそっくりだったね」
「―――ゴホォッ!!」
「……エ、エイカ。そこまでショックを受けなくても」
エイカはジュースを吹き出しそうになりながらも、なんとか耐えるがむせた。あまりの反応にメガーヌは慌ててエイカの背中を撫でる。そんな2人の様子にきょとんと首を傾げるアリシアだった。
「向こうはなんだか盛り上がっているわねー、メリニス」
「クイント、あなたいつか大物になれるわよ」
少し離れたところから、仲良さげな雰囲気に嬉しそうに顔を綻ばせるクイント。しっかり者なのだが、どこか抜けている友人にメリニスは肩をすくませたのであった。
「そういえば、お前の母親はどこにいったんだ」
「お母さんのこと?」
少し時間が経ち、落ち着いた頃にふとエイカは気になった疑問を口にする。彼女たち5人がおじゃました時に挨拶をした黒髪の女性。エイカは、髪と目の色が自分のよく知る人物にそっくりだったため、すぐにアリシアたちの母親だと気づいたのだ。
プレシアはお菓子と飲み物を用
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