再会&不思議な出来事
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口と思しき方向に向かって、ふらふらと歩みを進めると足がもつれて、ガン! と音を立てて頭を壁に打ちつけた
「だ、大丈夫ですか!」
「……むう」
一応、無事なようだ。令音が壁にもたれかかるようにしながらうめく
「……ああ、すまんね。最近少し寝不足なんだ」
「ど、どれくらい寝ていないんですか」
士道が問うと、令音は考えを巡らせる仕草を見せてから、指を三本立てる
「三日。そりゃ眠いですよ」
「……三十年、かな?」
「ケタがちげぇ!!」
「どれだけ寝てないんですか!?」
三週間くらいまでなら覚悟していたが、予想外の答えだった。というか明らかに、彼女の外見年齢を超えていた
「……まあ、最後に睡眠をとった日が思い出せないのは本当だ。どうも不眠症気味でね」
「「そ、そうですか」」
「……と。ああ、失礼、薬の時間だ」
令音は突然懐を探ると、錠剤の入ったビンを取り出した。そしてビンのフタを開けると、錠剤をラッパ飲みをしながら一気に口の中に放り込む
「っておいッ!」
「何してるんですか!?」
躊躇いもなく、おびただしい量の錠剤をバリバリグシャグシャバキバキゴックンする令音に思わず驚く
「……なんだね、騒々しい」
「どんだけ飲んでるんですか!ていうか何の薬ですか!?」
「……全部睡眠導入剤だが」
「それ死ぬから!!洒落になりませんよ!」
「……でもいまひとつ効きが悪くてね」
「どんな体してるんですか!」
「……まあでも甘くて美味しいからいいんだがね」
「それラムネじゃねぇの!?」
二人はひとしきり叫んでから、はぁと溜め息をついた
「……とにかく、こっちだ。ついてきたまえ」
空っぽになったビンを令音は懐に戻してから、また危なっかしい足取りで歩みを進め、医務室の扉を開ける。部屋の外は狭い廊下のような作りになっていた。淡色で構成された機械的な壁に床。エミルはアルタミラのホテルの地下部屋を思い出していた
「……さ、何をしているんだ?」
自分達の世界との文明が違うことに驚きながら、エミルはゆっくりと足を動かし始めた。ふらふらと足元のおぼつかない令音の背だけを頼りについていく。
そして、どれくらい歩いた頃だろうか
「……ここだ」
通路の突き当たり、横に小さな電子パネルが付いた扉の前で足を止め、次の瞬間、電子パネルが軽快な音を鳴らし、滑らかに扉がスライドする
「……さ、入りたまえ」
令音が中に入っていく。士道とエミルもその後に続く
「……っ、こりゃあ……」
「………何これ、凄い」
二人は扉の向こうに広がっていた光景に、目を開く。一言で言うと、船の艦橋のような場所だった
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