喪失編
七話
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それだけ言うと再び船に向かって、歩く。
だが、その足はすぐに止まる。
ブスッ!
何かが体を貫くと同時に口の端から一筋の血が流れた。
顔を下に向けると刀で胸を貫通されている。
ここでようやく自分の愚かさを悟った。
「た、しぎ....確かにアバラを折って瀕死にした筈だ.......」
「ゴホッ.....甘かった、ですね.....敵に簡単に背を向けるなど」
顔を後ろに向けるまでもなく、刺した本人は分かっていた。
たしぎと名乗った少女だ。
そう理解した時、胸から刀が抜かれ、俺の体が重力に従って、地面に転がった。
「思い出し、ました.....少し前に、賞金首のアーロンを倒ゴボゴホッ!....倒した男が、賞金首リストに加わりましたゴホッ!」
仰向けのままたしぎが俺に独白するかのように話始めた。
「あなた、の似顔絵が書かれて、いました」
「......」
この女、海軍の人間だったようだ。
つくづく運がない。
だが、俺は死んでいない、生きてるからこそまだ挽回のチャンスはある。
「.....話は分かった」
「そんな!?心臓を突き刺したのに、死んでない!?」
たしぎが慌てて刀を構え直すが、遅い。
再生の完了した俺は立ち上がり、首を絞めるようにたしぎを持ち上げた。
「甘かったのはお前の方だったようだな、たしぎ」
「ぐ、ぐぐぐっ......」
何とか振りほどこうともがくが、そこは吸血鬼の力、人間の腕力では不可能に近い。
文字通りの詰み。
「チェックメイトだ」
苦痛に歪むたしぎの顔から目を逸らさず、俺はたしぎの細首に吸血を行うため、指を食い込ませた。
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