第15話 今度は黒き死神が相手だそうですよ?
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、ハクと白娘子はそれを受け流し、破壊神のシノブは僅かに前髪と短いスカートの裾をはためかせただけで受け切って仕舞ったのだ。
黒い影が再び声なき声を上げた。しかし、今度は美月が大地を踏みしめ、タマが風の防壁を張る事に因ってむき出しの霊気。悪しき神力を受け流して仕舞う。
黒い闇を纏いし人型が一歩、美月たちの方向に足を踏み出す。
その瞬間、大地自体に異様な臭気が移り、大地自体が完全に死する。
黒き影がゆっくりと一歩進む毎に大地が生を失い、大気が澱み腐って行く。
これは……。あの黒い闇を纏いし人型は、生命その物を否定する存在。すべての生命に死を告げる者。
そう言えばバンダナの青年が、この黒い影の事をこう表現して居ましたか。
死に神だと……。
刹那、蒼き光輝と黒き闇の一閃が交錯する。
吹き荒れる滅びの風に長い黒髪を乱し、雨に濡れそぼった白衣の袖と、血のように紅い袴をはためかせて名前のない少女が舞う。
その少女らしい身体を護るかのように灯る仄かな光輝。ホタルのような、いや、キルリアン光と言う特殊な条件下でのみ写真に収める事が出来る幻想的な光。
いや、今の美月にならば、もっと強く見つめると見えたかも知れない。現在も尚、その光輝が更に強く成って居る様子と、そして、彼女……、ハクの周囲に集まって来る小さな精霊たちの姿が。
黒き死に神が前進を開始した瞬間、ハクは自らが手にした霊刀を二閃。神速により発生した刃は虚空を裂き、黒き死に神へと襲い掛かった。
しかし、黒き死に神はそのふたつの空間の断裂をゆっくりと。本当にゆっくりとした最小限の動きのみで無効化。
そう。何時の間に現われたのか、黒き死に神に相応しい黒曜石の輝きを持つ巨大な鎌。その死に神の鎌の刃の部分で、そして、石突きの部分で迫り来るふたつの空間の断裂を無効化して仕舞ったのだ。
いとも容易く。
悠長な。慎重な仕草で有りながらも、普通の人間……。いや、今の美月でさえも瞳に映すのが精一杯の戦闘速度で黒き死に神は動いて居た。
但し、ハクに取って放たれた二閃の空間の断裂など所詮は牽制に過ぎない攻撃。それを証明するかのようにふたつ目の空間の断裂を黒き死に神が無効化した瞬間には、既に彼女は肉薄。
そして――――
ハクの霊気の高まりと共に一際強い輝きを発する霊刀。日本刀独特の波紋が眩いまでの蒼い光の中で、本当に動いて居るかのようにゆらゆらと揺らめいて見えた。
対するは闇よりも昏き黒を纏いし死に神の鎌。
右脚を引き、剣先を後ろ……。脇構えと言う構えから、黒き死に神から死角に成った位置より一気に霊刀を振り抜くハク。
しかし、半歩後ろに下がり、剣尖が届くかどうかギリギリの距離を取り、死に神の鎌を僅かに動かす
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