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東方異形録
第53話 スキマ妖怪と 第二幕

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●紫side●

(え、今…なんて-----)
 目の前に居る人物は、私が生まれたときから今まで…1000年程だろうか。もう諦めかけていた私の理想へ理解を示した----

 「あ、貴方はそれが可能だと…言ったのよね?」
男「そう、頑張り次第だけれど。能ある人には可能だよ、紫ならその夢を実現できると思うよ。」

 (…もう、感服するしかない。きっと今の私はどれくらいニヤけているでしょうね?)
今までたくさんの妖怪、人間に会ってきた。  けれど、その中に私のこの理想に耳も傾けなかった。
 「いや〜、紫がそんなに馬鹿だったとは思いもしなかったよ」 つきあいの長い友人にもそう言われ、笑われるくらいだった。 …そして、目の前に初めて理解者が現れて私は思わず泣きそうになった。

 「----貴方みたいな人は初めてだわ。 名前は何というの?」

ついうっかり、名前を聞くのを忘れていたわ…

翔「桜坂 翔って言うんだ。 あと勘違いはして欲しくないから言うけれど今は仮の姿で、本性は吸血鬼 さ。」
 「あら、変身が上手なのね。----翔…ね。(あれ、どこかで聞いたことがあるのは気のせいかしら?) 良かったら私と、」

そう、願わくば私と-----

 「友だち、、に、なってくれるかしら…?」
翔「勿論、紫となら喜んでなることが出来るよ!」

 私は今までとはまた一味違う、『真の友』ができて、再び喜びに身をゆだねるのだった。

翔「さ、そうと決まれば祝いにもう一本飲もう!」

 私たちは、月が地平線へと消えるまで飲みあった。 あぁ、幸せね…






時は現在----

翔「おっ、しかもこの酒。あのとき一緒に飲んだのと同じのだな!」
 「ご名答♪」

翔もさすがね、あのときに飲んだお酒も覚えているわ。

 「今晩もこの満月を肴に飲みましょ♪」
翔「うれしい限りだな♪」

 翔と紫が会ってから30年経った今も昔も、月日は流れようと二人のその微笑ましく、見ているとこちら側(わたくしナレーターと読者)までもが微笑んでしまうようなこの光景は多分一生変わらないことだろう。






 

 
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